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2011年1月2日日曜日

スティーブ・ジョブズ

技術力というのは、多分、言葉にする力の事ではないか。実際に技術が身についているとかいないとかは関係なく。言葉にして他の人に示すことが出来る力を技術力と呼ぶのであり、同じ技術を持っていてもそれを他の人に説明できなければ、技術力が違う、と評価される。

他の人に説明できなければ本当に技術があるか、どうか判断のしようがない。説明できるとは、早い話が名前を知っている事だ。これが判断基準になる。よって技術力とは試験に出る問題と言う事だ。よって技術力があるかどうかは名前を問う試験で判断できるのである。

ただ注意すべき点は、技術力は、仕事が出来る事や技術を持っている事とは関係ない話である。技術は仕事の構成要素の一つだが、技術力の有無はその直接的な要素ではない。

仕事ができる、という人からの評価は、他人のものであって、試験とは異なるがある技術の所在を測るものである。だが、それでも過去を測るものであって、未来を測るものでは、本質的にはない。

仕事した結果、生じた成果物、生産物、創造物には技術が含まれているだろう。だが、それは技術力を測定することとは関係ない。

仕事するってのは無償の技術や資源を使って自然の中で起きている事であって、その過程で生み出された副産物だけが社会の中で有償となりうる。

技術の本質は生成における一過性のものであり、同じことは二度と起きない。ただ、技術の発見は伝播する事が可能な場合だけ再利用も可能だ。それは、技術の一つの側面ではあるが、本質ではない。

同じ事をして同じ結果を生みだすのが再利用だが、技術の本質は、二度と同じ事ができないものだ。書家が同じ字をもう二度と書けないのと同じだ。一子相伝であったり、相伝不可能な技術もこの世にはある。

だからこの世界には技術を再利用できるようにする技術というものがある。それを製品として提供することがある。例えばナイフは技術から生まれた製品であるが、何かを切るという技術はナイフが教えてくれる。誰もが技術を極めなくとも目的を得ることができるくらいになっている。

ナイフを作るのも技術なら、使うのも技術だ、そして、極めるのも技術なら、極めなくとも使えるのも技術による。

何故、日本で iPhone が生まれなかったか、理由は簡単、Steven Paul Jobs がいなかったから。何故、日本で Windows が作れなかったか、これも簡単、William Henry Gates III がいなかったから。コンピュータの歴史に既に名前を刻んだ天才が必要だった。

技術には色々とある。

iPhone は素晴らしい製品だが、世間の評判がいいからといって、そこに使われている全てのものが素晴らしいという評価は早計だろう。入力、表示、通信、タスク管理、メモリ管理、アプリケーションのためのプラットフォーム・・・ それぞれが、天才の名を冠する人達やその資格を持つ無名の技術者たちによって、こつこつと積み上げられてきた。どんなにダメなソースでも、どれだけ腐ったソースでもそこに全く技術がない、ということはありえない。

たた我々の世界はそれに価格を付けるので安い技術には目もくれない。iPhone にない技術が他の携帯に搭載されている例もあるだろう。それがあっても見向きもされないのは、ただお金にならないからか、技術として平凡なのか、誰も気付いていないからかもしれない。

そこだけで技術を見れば、勝ちも負けも優劣さえもない。だが問題を解決する手段としての技術を使うなら適材適所も出てくる。どのアプローチが優れているかは、見方によっても様々ありうる。そこにお金が絡めば、更に色々な話が絡む。そうなるともうそこには単なる技術はなく、技術も設計も思想もビジネスも含めた巨大な集合が現れる。

エンジニアは、お金のためだけではなく、面白さ、生きがいもあって技術の虜になっている。単に面白い、興味がある、それは仕事をする上で上達の極意なんだろうけど、それだけでは iPhone は生み出せれない。大勢の力を集約しなければできない製品であれば、それぞれのエゴをまとめきり一つの方向を向かせる力が必要だ。

これは、もう技術だけの話では終わらないのであって映画、アニメ、車、工業製品、サービス、形あるものならなんでもそうなのだが、強烈な製品というものには、強烈な個性が係わっている、んだろう。そう言った中で、あいつとは2度と仕事したくない、という人もたくさんいるだろう。いずれにしろ、技術さえあれば iPhone を生みだせた、Windows NT が生み出せた、という事はありえないのだ。

iPhone とは Jobs という名のシステムだったのではないか。日本で生まれるわけもない。アメリカでさえ他からは生まれちゃいない。それは、世界でただ一人の Jobs から生まれたのだから。

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