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2011年1月6日木曜日

ハーバード白熱教室 - マイケル・サンデル

その理由は私たちは日々、これらの質問に対する答えを生きているからだ。
(We live some answer to these questions every day.)

尖閣諸島白熱教室

ここに君たちに一つの質問をしよう。

ある事件の映像を海上保安庁の職員が公開した。これは、政府が公開する前にその職員がリークしたものだ。

問題はこうだ。

彼は彼の正義に従って公開した。
だが、この行為は道徳的に許されることなのか?という事だ。

つまり、正義と道徳は一致しないことがあった場合、我々はどちらをとるべきだろうか。
という問題に突き詰めることができる。

はい、その君。
「私は正義を貫くべきだと思います。今回、政府の中国に対する弱腰に不満を持つ人は多いです。その政府が非公開としたとき、これを咎める事は、正義になります。」

「この行為を正義であるとする理由は彼自身が言っているとおり、これを見る権利が国民にはある、ということです。情報公開をうたって政権を取ったのにこれを隠すことに正義があるとは思えません。」

政府には非公開にする理由があったとは考えられないだろうか?
例えば中国との外交問題が更にこじれることを避けたいとか、経済制裁する理由を相手に与えることになるとか。

「私は、経済静止を受けようとも政府がそんな弱腰であることが許せません。」

しかし、君たちが選んだ政府だよ?

「私はその政党には投票していません。」

(笑)

では反対意見は、後ろの君。

「私は、公務員が政府のやり方に不満を持つのは構いませんが、不満であるからと勝手に公開することは、テロやクーデターにも匹敵する行為だと思います。」

「このような公務員としての道徳に違反した行為を正義の名の下に許してしまえば国として成立できなくなるのではないかと危惧します。」

「今回の彼の行為を正義と認めても構いませんが、このような反道徳的行為が続けば、次、その次と政府に反感を持つものが勝手に動いていくことを認めることになります。」

「次に政府に対して行動するものが、本当に正義の名に値するかは誰にもわかりません。」

「私たちの国には正義の名のもとに、クーデターを起こそうとした歴史があります。」

「彼の行為は道徳的に問題であるというのだね。」

「ええ、政府が非公開、または、保留中の事項をその組織の下のものが勝手に公開しては組織が成り立ちません、仕事に対する道徳としてみれば問題だと思います。」

これに対する反論は?

「515 事件は確かに反乱ですが、それを言えば明治維新だって時の政府への反乱です。反乱であることが必ずしも道徳的にも間違っているとは言えないと思いますけど。」

はい、君。

「民主主義のもとでは政権交代という形で変革をすればいいのであって、それ以外の反乱を認めるべきではないと思います。」

なるほど、難しい問題だね、そこの君。

「昔、吉田松陰という人が当時の規則を破り、アメリカに密航しようとした事がありました。当時は死罪となるような事件です。しかし、その法律を破ってまで渡米しようとした松陰の魂は、その後の倒幕の流れを作りました。」

「例えば法を破ってでも正義のために行動することを咎める事は出来ないと思います。結局、松陰は死罪になりました。同じように罰を受けるかもしれませんが。」

反論はあるかね。
「はい。先の大戦において、関東軍が中央政府の方針を無視して満州国を築きました。このときの首謀者、石原莞爾を始め、暴走する軍部に対して厳しい処罰をしてきませんでした。これが、結局戦争にまで続くことになります。政府に従するもの、厳罰しなくては、第二第三の造反者を生みだすだけです。」

つまり、君たちが言いたいのは、彼を処罰すべきかどうか、という事かな。

それでは、正義と道徳のどちらを優先すべきか、正義とは道徳に基づく行為なのか、それとも、この二つは異なる側面を持つものなのか?

更には今回の行為は正義なのか、正義ではないのか、道徳的であったか、そうではない行為なのか、

正義とは何に基づく行為であり、
道徳とは何に基づく行動なのだろうか?

そういう話と、彼への処分とは違う話だと思われるのだが、どうだろうか。

はい、そこの君、君の意見は?

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