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2018年12月28日金曜日

日本国憲法 第四章 国会 (第四十一条~第六十四条, 国会)

第四十一条  国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条  国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条  両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
○2  両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第四十四条  両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第四十五条  衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第四十六条  参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
第四十七条  選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第四十八条  何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
第四十九条  両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第五十条  両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第五十一条  両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第五十二条  国会の常会は、毎年一回これを召集する。
第五十三条  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第五十四条  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
○2  衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
○3  前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第五十五条  両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十六条  両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
○2  両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第五十七条  両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
○2  両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
○3  出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第五十八条  両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
○2  両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十九条  法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
○2  衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
○3  前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
○4  参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第六十条  予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
○2  予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十一条  条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第六十二条  両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第六十三条  内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十四条  国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
○2  弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。 

短くすると

第四十一条  国会は、唯一の立法機関。
第四十二条  国会は、衆議院、参議院で構成。
第四十三条  両議院は、選挙された議員で組織。
○2  議員定数は、法律で定める。
第四十四条  議員、選挙人の資格は、法律で定める。
第四十五条  衆議院議員の任期は、四年。
第四十六条  参議院議員の任期は、六年、三年ごとに半数を改選。
第四十七条  選挙に関する事項は、法律で定める。
第四十八条  同時に両議院の議員たることはできない。
第四十九条  議員は、国庫から歳費を受ける。
第五十条  議員は、国会の会期中逮捕されず。
第五十一条  議員は、演説、討論、表決について、責任を問はれない。
第五十二条  国会の常会は、毎年一回。
第五十三条  内閣は、国会の臨時会の召集できる。総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、召集しなければならない。
第五十四条  衆議院が解散されたときは、四十日以内に総選挙、三十日以内に国会を召集。
○2  衆議院が解散は、参議院は閉会。
○3  緊急集会において採られた措置は、臨時のもの。
第五十五条  両議院は、議員の資格に関する争訟を裁判する。
第五十六条  両議院は、総議員の三分の一以上の出席がなければ、議決できない。
○2  両議院の議事は、出席議員の過半数で決する。
第五十七条  両議院の会議は、公開。
○2  両議院は、会議の記録を保存し、一般に頒布しなければならない。
○3  出席議員の五分の一以上の要求あれば、各議員の表決は、会議録に記載。
第五十八条  両議院は、議長、役員を選任。
○2  両議院は、院内の秩序をみだした議員を懲罰できる。
第五十九条  法律案は、両議院で可決。
○2  衆議院で再可決したときは、法律となる。
○3  衆議院が、両議院の協議会を開くことを妨げない。
○4  参議院が、六十日以内に議決しないと、法律案を否決したとみなす。
第六十条  予算は、さきに衆議院に提出。
○2  予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十一条  条約の締結に必要な国会の承認は、前条第二項の規定を準用する。
第六十二条  両議院は、調査を行ひ、証人の出頭、証言、記録の提出を要求できる。
第六十三条  内閣総理大臣、国務大臣は、何時でも議院に出席できる。又、出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十四条  国会は、訴追を受けた裁判官を裁判する弾劾裁判所を設ける。
○2  弾劾に関する事項は、法律で定める。

更に要約

国会
  • 国権の最高機関
  • 唯一の立法機関
  • 衆議院、参議院は選挙された議員で組織
  • 議員になるのに国民は差別されない

議員の要件

  • 両議院の議員は兼任できない
  • 国会の会期中には逮捕されない
  • 会期前に逮捕されても議院の要求により釈放される
  • 演説、討論、表決によっては院外で責任を問はれない
解散する機能
  • 国会は総選挙を行う
  • 衆議院が解散しているときは参議院の緊急集会を開く
  • 緊急集会の措置は、次の国会開会で衆議院の同意がない場合は効力を失ふ
裁判する機能
  • 議員の資格に関する争訟を裁判する
採決する機能
  • 総議員の三分の一以上の出席がなければ議決できない
  • 秘密会を開くことができる
  • 議決は公表し頒布はんぷする
  • 各議員の表決は会議録に記載する
議決の対象
  • 法律
  • 予算
  • 条約
国政調査する機能
  • 証人の出頭
  • 証言
  • 記録の提出を要求
行政との関係
  • 内閣は国会を召集できる
  • 内閣は議員の要求により議会を召集しなければならない
  • 議案について発言するため議院に出席することができる
  • 答弁又は説明のために出席しなければならない
司法との関係
  • 裁判官の罷免のために弾劾裁判所を組織できる

要するに

なぜ国会は最高機関であるのか。なぜ戦前の国会議員は軍部と簡単に密になってしまったのか。つまり、民主主義とは何か。

アメリカのこと

「government of the people, by the people, for the people(Gettysburg Address, Lincoln)」が示すものは、人民を大切にするではない。これは人民に問うた言葉である。アメリカは果たして民主主義によって維持し続ける事ができるだろうかと。

アメリカは民主主義の実験場である。建国した人たちの理念が今もアメリカを支えている。そのために必要なものを整備し続けてきた歴史が合衆国憲法にはある。アメリカはこれを証明するために存在する。もし滅びれば、それを否定的に証明したことになる。

だから、アメリカは今日も存在する。この命題は決して肯定的には証明できない。だけど、アメリカが存在する限り、今日も否定できなかったと言える。アメリカという国がある。だから否定できない。

アメリカは決して証明できない命題を証明するために存在しているようだ。ここに合衆国の永遠性、永続性がある。この永遠性がアメリカを支えている。

日本国憲法はこの合衆国憲法の理想を受け継いだ。だから日本国憲法を学ぶ事はアメリカを学ぶ事でもある。それはそのまま近代国家とは何かを考える道である。

国家は、尭瞬の時代には既にあった。メソポタミアの地にもあった。どれほど古くとも、どの時代にも人は統治の理想を掲げた。今も伝わるところである。なぜ国家に理想というものが必要なのか。なぜ国家には理念が欠かせないのか。

ヨーロッパもアジアもアフリカも、様々な人々が、たとえアマゾンの奥地の集落であれ、ぞれぞれが違った道を辿りながら、様々な統治というものを生み続けてきた。アジアにはアジアの、ヨーロッパにはヨーロッパの統治の理想があった。王であれ神であれ、民衆であれ、その理想から逃れた者はいない。

統治のこと

統治とは何であろう。人々を治めるのには理想がいる。どのような傀儡の国家であろうと、人々の情熱を生み出すだけの理念が求められる。ISという国家にさえ彼らの理想がある。理念が厳然と存在している。

理想など嘘だ。そんなものは虚構だ、幻だ。都合のいいご都合主義だ。騙されるな。理念は実態を持たないではないか、なにひとつ強制する力を持たないではないか。誰が保証してくれるのか。理念が病気を治すか、飢えをなくせるか、キリストでさえパンを必要としたのに。

理想だけでは足りない。裏切り、詐欺、欺瞞。誰が守るというのか。誰も。戦争に動員され命が消費される。理念だけでは全然足りない。そんなものを信じるくらいなら…

どうすればいい?我々は何をもって立てばいい?

「信なくば立たず」

誰も国家の理想を信じずに生きてゆけない。なぜ人間は理念を必要とするのか。いや、なぜ理想ならば信じることができるのか?

この世界の最後のひとりとなったとしても、最後の瞬間まで人間は人間の理想を信じているだろう。この世界のどこかに自分の仲間がいると信じるだろう。滅びた多くの生命、集落、国家、みんなそう信じていた。そう思う。我々は何かを信じずに生きてゆくことはできない。我々の脳は信じる以外に、何ひとつ脳という虚構の中に世界を構築する方法を知らないから。

責任のこと

民主主義は優れているのか。人々の意見をよく聞き、議論を重ね、熟考の上で、政策を決定する。だが、これは民主主義の本質ではあるまい。これは民主主義の方法論に過ぎない。民主主義の本質は、結果を誰のせいにもできない点にある。

かつて、王ならば、誤まればその首を刎ねれば良かった。それで全ての責任を負わせることができた。その後で、新しい為政者が別のやり方で国を興した。

所が、民主主義には刎ねる首がない。愚かな国家元首である。それを選んだのは国民である。独裁者となって国を滅ぼした。その彼に投票したのは君たち市民である。無理な戦争に邁進した。こんな話は知らなかった、こんな結果は望んでいなかった。それは君たちの選択の結果だ。言い訳なら好きなだけすればいい。だが、知ろうが知るまいが、それが君たちの選択だ。こんな無能者だとは思わなかった。それを見抜けなかったのだ。もう遅い。

それを選択したのは君たちだ。君たち以外の誰でもない。その結果、国が滅びた。それだけの事。

誰かを裁く正義など君たちにはない。その誤りを検証するのはいい、だが、誰かの責任にできるのか?愚かな為政者?彼を選ばなければ違った道を歩けた?そう、そうならない道は幾らでもあったはずだ。そのためのチャンスが何度もあったはずだ。その悉くで失敗したのだ。今さら遅い。

誰にも結果の責任を負わせる事ができない。君たち自身でさえその責任は負えないはずだ。民主主義はそれを原理的に不可能としたのだ。投票した君たちの責任でさえない。君たちには責任を追及する権利さえない。君たちの国はその命数を使い切ったのだとさえ言ってもらえない。これが君たちの選択の結果だ。悪い結果だけを悲観するのは人間の勝手な思い込みというものだ。それ以上でもそれ以下でもない。

道を歩いた、その結果、そこにたどり着いただけの事。この事実以外の何も民主主義は許さない。誰かの責任になどさせるものか。民主主義は、権力を王から市民に置き換えたシステムではない。誰にも責任を負わせないように政治システムが変わったのだ。

我々は正当である時、初めて悪魔になれる。本当の正義は如何なる正当性も持たない。正当性に理由があるなら、別の理由によって正当性を失うだろう。だから正当性を主張する者の中に正義は存在しえない。だから民主主義には正義がある。責任という正当性を放棄したからだ。

だから民主主義は、国家が滅びないための制度ではない。滅びても構わない。自ら滅びることを選べるようにした。民主主義を否定することさえ、この制度は許容する。それでも構わないじゃないか、そこに民衆が残るなら。また再興すればいいじゃないか。国家など幾ら壊滅しても構わないじゃないか。

それだけの覚悟がなくてどうして民主主義を選べよう。誰かに託す方がずうっと楽だ。そうすれば失敗しても、誰かを縛り首にすれば終わる。失敗した者に石を投げつければいい。だが民主主義はそれを許さない。今まで選択をしたことがない者だけが石を投げなさい。ならば子供たちには石を投げる資格があるのだろうか。いや恐らくない。子供たちでさえそのような権利を有しない。

衆愚の何が悪い。それで滅びるのなら、それが世界のためだ。民主主義は国家をあと腐れなく亡ぼすためのシステムなのだ。国家の興亡など民衆の選択に託したまへ。苦しむのも死ぬのも彼ら/彼女ら自身なのだから。

そう、核のない時代ならこれでも十分だった…

選択ということ

選挙とは革命の事だ。民主主義に必須である革命権を日常の中に持ち込んだ。もし革命をするなら人数が多い方が勝つだろう?ならば、全員で投票すればどっちが勝つかはわざわざやらなくても分かるよね。

ワイマール憲法に欠陥があったによせ、ナチスはドイツ市民の選択である。気が付いた時にはどうしようもない状況に陥った?野望に燃える者が軍部を掌握した。そうなったら対抗する手段を民主主義は持たなかった。憲法が停止される。そうなる前に何度もチャンスはあったはずなのに。

その悉くを市民がこぼれ落とした。それが民衆の選択だったからである。それでも人々は選択した、そう言えるだけましではないか。

このか弱く無力な政治体制さえ運用できないのなら、どんな制度だって満足に運用できないだろう。これは失敗して当然のシステムなのだ。そのための安全弁も極めて脆弱なのだ。

民主主義が失敗を回避する方法はひとつしかない。決定までにたくさんの時間を費やす。つまり、ゆっくり考えなさい、これだけが民主主義の方法だ。百年後にはもっと新しい制度が構築されているかもしれないが、今はこの制度しかない。急ぎたい人は、だから全体主義へと向かう。

人類の歴史は暴力で溢れている。暴力をどう抑え込むかの歴史でもある。人間の敵は人間である。例え異星人と戦争をしても、人類の敵は人類である。異星人もまた人類であろうから。

アルキメデスは、今では名も残らない兵士の気分を害したために殺された。殺せと命じる者に異を唱えた者もまた殺された。なのに、なぜ議論を尽くすべきなのか。

憲法を廃棄することも停止することも簡単だ。書かれている理念を笑い飛ばすことも容易い。人の心を打たない言葉など幾らでもある。我々は理想を守るために暴力に訴えることもある。正義の名のもとに虐殺することさえ厭わない。それなのに、なぜ人間は武力は言葉で抑え込めると信じたのか。我々の憲法はただの紙切れに過ぎない。その何処にこれほどの力があると信じたのか。我々は暴力に屈することはある。確かにその通りであるが、それは我々人間が屈したのであって、我々の理念が屈したのではない。

言論は軍部によって追いやられたか?いやいやそうではあるまい。誰もそのようなつもりで戦争に突入したのではないだろう。先大戦の大きな特徴は、それでもあの焼け野原を誰かの責任にできる点にある。今度の民主主義ではそうはいかない。