死者はどこにいくのか。天国か地獄か涅槃か。それらが危機的状況にある。墓仕舞いが増加している。
その兆候は19世紀のニーチェの頃からあった。神は死んだというザラトウストラの言葉はその現れだろう。
宗教から生れ出た科学が、神や仏を世界の中心から押し出そうとしている。自然とそれらと深く結びついたものが消えてゆこうとする。
三途の川、閻魔など十王による裁判、極楽浄土という世界観。イザナギは黄泉国に毎日1000人を迎えいれる。数万年前から人間は死者の行く末を創造してきた。鳥葬にもそれはある。
山の方にある白い天井では蜘蛛が巣を張ろうとしている。
今更、涅槃でもないか、とも思う。だがその代替として現代は異世界転生を提案する。
死者は異世界に転生し、魔法の世界であろうとどこであろうと、いま頃は野原を街に向かって歩いている。それで十分だ。いつかその世界で出会う事もあるだろう。その時にはその異世界での冒険譚を聞かせて欲しい。聡明で決断力のある冒険の数々を。
それは肯定される。