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2020年7月24日金曜日

宇宙連邦の恒星系文明に対する警察権の取り組みについて

宇宙連邦銀河系第十六管区辺境支部警視監 12xx-6q3k-94db-3orz-8877 報告 s/12856:1280:3392i-j 訓令

宇宙連邦の警察権は次の三主要任務に分類される。
  • 宇宙連邦加盟星への警察任務(基本法案:基本刑事法、他126971関連法)
  • 宇宙連邦非加盟星への警備任務(基本法案:辺境整備法、他3046関連法)
  • 惑星文明への警護任務(基本法案:辺境警護法、他536関連法)

法定義

辺境警護となる対象星系は、哲学、倫理、道徳、文明、進化、科学、規範が連邦規範の比較軸 D-447321 を満たさず、そのため我々とのコミュニティ接触は Dランクに制限される。

我々の科学的優位性はこれらの星系生命システムを浸潤する理由にはならないが、我々の接続プロトコルから逸脱したコンタクトに対しては、過度接触は避けつつも平和裏邂逅の導入により、上位級判定者と協議し、連邦レジストリとユニオン規約を公表しなければならない。

各星系の純自然発展を妨げる事は推奨しないが、速やかな現状復帰が不可能で、脅威侵略が不可避の場合、積極的介入の検討は許可する(LL0-7-3512以上)。

時に、高度な科学技術を持ちながら個体意識を持たない女王個体を中心とした高度真社会性生命体が出現する場合がある。このような生命が恒星間飛行を獲得し他星系へ進出するのは、その生命体からすれば生存エリアの拡大であるが、被進出生命体にとっては、自然発生の侵害であり、対抗措置を持たない種族は、ただちに捕食対象でなって環境依存に起因する絶滅に至る。我々はこのような状況でもどちらの利潤も保証した解法を開発し、共存可能な環境構築に努める。介入不可による静観黙認については手続き XC-22X-0009 以下 320 文書が定義する。

我々からのコミュニティ・コンタクトに失敗した事例には、辺境生命体が急激な科学発展を獲得し、不自然な発展のために自滅するケースがある。我々は様々な起因回避に努めるが、その場合に参考すべきはベースパターン UCM:77024 分類である。

文化救済と絶滅回避

辺境星系へのジョイン・ゾーンは、自発的文化への不干渉、星系文化の永続的保存、絶滅危機の回避が三大理念であり、これは加盟非加盟の如何を問わず保護活動のベースメソッドである。

我々のオペレーションは辺境星系を監視し、絶滅危機に瀕した場合、緊急的絶滅回避を試みる。そしてパターン AB-32 以上になれば、回避措置から救済対象にエスカレーションさせなければならない。

救済措置の主活動は文化保全である。GE/253-2184 条項により絶滅回避よりも優先する。緊急度Aクラスでは D009-CXB 項は除外され、武力的強制はCクラスの譲渡である。既に[124/*21]の歴史的保護が実行され、KMP(LL)保護は{13462-*/675211}が実行済みである。

内滅と外滅

論文 KLC-392-0110-41 AV 項の記載から、絶滅文明の回避方法の手段は 4032 が発見されている。絶滅経路には大きく外滅と内滅があり、特に自然由来の外滅要因では極めてよい反応成績を残す。詳細は推励 Q-123-A を参照されたい。

内滅には、特に物理クラス文明(CategoryG4, ClassF7, Stage21)の成績が難治である。症例は多いのに、いずれも予後不良が激しい。

主な滅亡条件(Figure 1092A)
  1. 生物兵器使用に起因する滅亡
  2. 疫病の特効薬に起因する滅亡
  3. 紛争の報復や道連れに起因する滅亡
  4. 環境汚染、破壊をもたらすインセンティブに起因する滅亡
  5. 新しい進化系保育拒絶に起因する滅亡

ClassF7では、工学的核融合技術にも達しないローエネルギー段階である。そのような技術レベルでは資源渇望が起きやすく、核分裂が魅力的で重宝されるフローは当然である。そのレベル文明で自滅が多発するのは、物理学的破壊活動と抑制的回復活動のアンバランスが解離するためである。

パターン分類

各星系の進化経路は一つではなく、そこに現れる資源獲得と競争的、闘争的進化の発生は、その星系に独自の生存原理を発生させる。その影響から逃れるJ対象はより上位のHレベルに昇格する必要がある。

進化指向が多様性に基づく生存確率の向上を採用している星系では、その生存性は多様性の数量に依存する。よって、分裂個数の増加、活動エリアの拡張に基づく戦略が採用される。このような進化戦略を採用する生物種では、どのランクの精神性を保有しようが、生息分布の伸長と個体数増加が覇権主義的な生存確率根拠となる事が実測される。

このような星系では生物は増加と減少を繰り返しながら環境に応じた多様性を獲得し、種を増幅する。それは基本設計のパラメータの組み合わせで表現され、突出した大繁栄をした種は環境への最大適用の実用であり、その繁栄期間が長くなるほど、その後に訪れる環境変化には対応し難い形質で安定する。これはエネルギー効率の最適化問題であるが、形質獲得の固定化と変化率低下は常に観察される。

その根底にある進化的闘争性に資源枯渇が重なった時、生物は互いに絶望的な闘争戦略を採用する。相手よりも1秒でも長く生き残る事が最適解として導かれる。それが故に回避不可能な絶滅条件を満たす場合もある。

相手を出し抜く、より有利な状況に自らを置く事は、より未来までの時間を得る方が、何等かの解決手段の発見、状況の好転、救助者の登場などを期待できるからである。この思想に依拠する方が生き延びる可能性が高くなるという経験則的戦術である。

相手との闘争が発生すれば、相手を屈服させ、それが難しいなら相手の意欲を削ぎ、危険な相手にも警戒を持たせる事が合理的帰結になる。もし滅亡するなら相手を道連れにする、生き残ったとしても楽には生きさせない、そのような敵対コミュニケーションが活発になる。

生命素子の改変、微生物の特異的変化、化学物質の不安定拡散が、絶滅起因を増加させる。脅迫技術の保有が安全保障に貢献すれば、これへの対抗策は更に絶滅起因を加速する。

環境破壊はどの文明にも共通する初期現象であるが、その帰趨は星系が持つポテンシャルの属性である。不可逆的変動に入る閾値が小さい星系では環境変動が直ちに起き、我々の救助活動が間に合わない場合もある。極端に大きい星系では、環境変動の危険性に自ら気付く時間的余裕が長い。そこでは我々の環境修復力も十分な効力を発揮する。いずれも短期的快楽の追求が生存性向上と切断できるかが監視上のMQWQである。

そういう文明から敷衍できる共通特徴は、新しい知見の獲得と行動様式の非同期性にあって、古い規範を塗り替えるのに時間が必要という事である。それを上書きするための統治システムや書き換え儀礼の刷新があるとは言え、古い時代の速度と新しい時代の速度差が原因である。低い技術が技術革新によって高くなると、その脅威評価は一般的には絶滅指数 NN-32 に従う。

我々の例外的コンタクトにも係わらず、星系内の覇権争いは終息せず、我々の技術供与も対抗勢力への武力開発に応用され、信頼性、信用性のプロトコール確立も相手との駆け引きにしか使用されず、最終的に強制調停者としての第43次ドクトリンプランへパッチする。

対象分析

今回、我々は、恒星間飛行は実現しておらず、恒星内の無人飛行に成功した、N最大エネルギー源:核分裂、Fエネルギー源:核融合の生命体星系にコミットする。これまで議論してきた絶滅回避の主条件を満たしている星系として AS299-G458L を初適用する。

ここにエージェント 3169 を派遣する。多くの異言語、異文化が乱立し、地域間で異なる統治思想に基づく指揮系統の国家体制で、緩やかな連合と所有概念に基づく資源獲得によって無目的な勢力拡大を性向する世界体系を展開する。

この辺境では、多くの事例は偶発的幸運に支配されており、法則的意思決定や集団的合意指向性よりも、神概念(ZGB-U666-Qを参照せよ)に基づく決定が多く見られる。個体毎の幸運を希求する文化(信仰とも呼ばれる)が広範囲で観察され、数学的偶発に対して、しばしば上位者の決定論的解釈(神、天、運など)で認識するため、過去の幸運が未来も続くと無根拠に信じ込む。

この星系ではCコンタクトを発揮するが、これはエージェントが現地人として入り込み、文化、文明、科学技術に貢献しながら、その星系で寿命を全うするケースを前提とするものである。これまでも様々なエージェントがその寿命を全うした。もちろん、不幸な殺人で亡くなったエージェントも存在する。

この星系の疫病に起因する絶滅条件がレベル E-54-CLVL0 を超えた。特に彼らが開発中の特効薬の危険性が致命的で、このまま蔓延すれば回復不能な遺伝素子改変が発生する確率86%が報告されている。安全保障では絶滅前提の戦略を採用する生命体にも係わらず、疫病に対しては極端に恐怖を起こしパニックする。わずか5%の生命危機に対してとった防御機構が種絶滅を誘引しようとしている。

そのような危機的状況が政体危機から紛争に転嫁される可能性が高まっている。弱体化した地域への侵入と対抗措置が偶発的勃発を起こし、混乱のパニックが連鎖拡散し、気候変動がそれに拍車をかける。

疾患の蔓延、飼料不足、交易低下、交換価値の減衰、資源の深刻な欠乏、これえらが略奪を使用した生存性向上を星系の上に蔓延する。その危機的状況に、別の方法が開発された形跡がない。

のみならず、他種絶滅が並列して発生する事も問題である。OP-ZZZ-63249 により、その該当種への絶滅は許容してもそれ以外の種保存は必須である。OP-ZZY-91 による強制保存も準備する事。

訓令

これらの活動は第3警護任務条例の範囲を逸脱して行ってはならない。特殊令により、本星系に対しては、支部 PX3EV-12742 に全指揮を委譲する。宇宙連邦加盟国、および、それに準ずる星系からのコンタクトに対しては、文明汚染、環境破壊、資源侵略から武力警護 P04-NC-5088S の権利を有す。そのための手順を OP83-9017625600-CDUV に定義する。

本令の基本方針に則り、以上の指令を直ちに発布する。