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2020年3月20日金曜日

三角形の面積

直線

直線がある。この直線のある点から円状のある位置に線を伸ばせば三角形が出来る。こうしてみると、一次元から二次元に変わる時に最も簡単な操作で出来るのが三角形と言って良さそうだ。




直角三角形

直線に対して、長さと角度を変えた点があれば色々な三角形を作る事が出来る。さて、この時の角度を90度に固定すれば長さを変えるだけで色んな三角形が作れる。なぜ90度に固定するかと言えば、ピタゴラスの定義で馴染み深いからだけである。




片側だけの三角形の反対側にも点を設ければこれも三角形になる。もし二点が一直線上になければ(角度が180度でなければ)四角形になる。




垂線

三角形は頂点から辺に向かって垂線を引く事ができる。垂線は辺と交差しなくても引く事ができる。




しかしひとつの頂点は必ず辺と垂線で交差する。

面積

つまり、三角形は必ず直角三角形に分割できる。直角三角形ならばピタゴラスで面積が求まる。



角Aに対する辺BCに対して垂線をおろせば、ふたつの直角三角形が作れる。この三角形 ADB と ADC のそれぞれの辺の長さは次の計算で求まる。

\({BD} = \sqrt{{AD}^2 + {AB^2}} \)
\({CD} = \sqrt{{AD}^2 + {AC^2}} \)

分かっている事
辺 AB, AC, BC の長さ。
頂点 A, B, C の角度。

計算で求まる値
角 BAD は 90 - 角B。
角 CAD は 90 - 角C。

辺 AD の長さ。
\(辺BD = {辺AB} \times \sin({角BAD})\)
辺 CD の長さ。
\(辺CD = {辺AC} \times \sin({角CAD})\)

三角形 ABD の面積は AD * DB / 2
三角形 ACD の面積は AD * DC / 2

三角形 ABC の面積は ABD + ACD

2020年3月14日土曜日

ケーキを三等分する

角度で三等分する


ケーキをカットする方法
  1. 中心(B)からひとつの方向(A)へ切る。
  2. その反対側の位置(C)にめぼしを付ける。
  3. (C)の位置から同じ半径の円を描く。
  4. 交点で切る。
  5. または、(BC)の半分の位置(D)から垂直に線を引いた交点で切る。
ケーキの盛り付けが角度によって等しくない場合は更に等分を増やして平等を目指す。一度二度の違いは気にしない。たかだか\(\frac{1}{360}=0.0027\)の違い。

半径を(R)とする面積 \( \pi \times R^2 \)
角度を三等分する角度 \(360 / 3 = 120 \)


半径で三等分する

円の面積の\(\frac{1}{3}\)となる半径を求める。


ケーキをカットする方法(ほぼ誤差なし)
  1. 中心から半径の半分より若干外側(1.1倍くらい)の所(R1)で円形に切る。
  2. 残り部分は半分の所(R2)で円形に切る。
ケーキの外周にはデコレートがあるが、中心にはイチゴがたくさん埋まっていたりする。間に挟まれた人は不公平を感じるかも知れない。三人で平和的な解決を目指して分量を調整する。

半径を(R)とすると面積 \( A = \pi \times R^2\)
\(\frac{1}{3}\)の面積となる半径(r) \( \frac{1}{3} A = \pi \times r^2\)
\(\frac{1}{3}\)の半径 \( r^2=\frac{1}{3}A \div \pi ⇒ r=\sqrt{\frac{1}{3} \frac{A}{\pi}}\)
\(\frac{2}{3}\)の半径 \( r^2=\frac{2}{3}A \div \pi ⇒ r=\sqrt{\frac{2}{3} \frac{A}{\pi}}\)

\(\frac{A}{\pi}=1\)とした時
\(\frac{1}{3}\)の半径R1は \(\sqrt{\frac{1}{3}}\)
\(\frac{2}{3}\)の半径R2は \(\sqrt{\frac{2}{3}}\)
\(\frac{3}{3}\)の半径R=R3は \(\sqrt{\frac{3}{3}}=1\)。

R1:R2:R3 の比は
\(\sqrt{\frac{1}{3}}:\sqrt{\frac{2}{3}}:\sqrt{\frac{3}{3}} \fallingdotseq 0.5774 : 0.8165 : 1\)。

\(\sqrt{\frac{1}{3}}\fallingdotseq0.57735026919...\)は半分(\(\frac{1}{2}=0.5\))よりも若干大きい。
\(0.5 \times 1.1 = 0.55, 1.5 \times 1.2 = 0.6\)だから1.1と1.2の間のどこか。
\(0.57735026919 \div 0.5 \fallingdotseq 1.15470053838...\)

辺の長さの比
R1:R2の比は1.4142で \(\sqrt{2}\)
R1:R3の比は1.7321で \(\sqrt{3}\)
R2:R3の比は1.2247で \(\sqrt{1.5}\)

R1:R2は \(\frac{R2}{R1} = \sqrt{2} = \sqrt{\frac{6}{3}} = \frac{\sqrt{6}}{\sqrt{3}} \)
R1:R3は \(\frac{R3}{R1} = \sqrt{3} = \sqrt{\frac{9}{3}} = \frac{\sqrt{9}}{\sqrt{3}} \)

R1:R2:R3 の比は
\(\sqrt{3}:\sqrt{6}:\sqrt{9} \fallingdotseq 1.7321 : 2.4495 : 3\)としてもよい。

\(\sqrt{3}\fallingdotseq1.73205080757...\)は半分(\(\frac{3}{2}=1.5\))よりも若干大きい。
\(1.5 \times 1.1 = 1.65, 1.5 \times 1.2 = 1.8\)だから1.1と1.2の間のどこか。
\(1.73205080757 \div 1.5 \fallingdotseq 1.15470053838...\)


縦に三等分する

円の方程式を積分に突っ込んで求める方法もあるらしいが、ここでは扇形の面積から三角形の部分を引いた面積が\(\frac{1}{3}\)となる高さ(H)を求める。きちんと割り切れない可能性が高いので有効 n 桁を決め、その精度の範囲内で求める。


ケーキをカットする方法(誤差あり)
  1. 半径の1/4~1/3の所で切る。
  2. 反対側も同じ所で切る。
真ん中にイチゴがある場合、この方法を使うのはアンフェアである。

分かっているもの
  1. 三角形の斜辺 = 円の半径 = R
  2. 三角形の高さ = H
扇形の三角形部分の面積(A1)
半径 R と高さ H の三角形二つ分だから \( R \times H \div 2 \times 2 = R \times H \)

三角形の辺の長さ(B)
ピタゴラス \(R^2 = H^2 + B^2 \) から残りの辺(B)の長さは \( B = \sqrt{R^2-H^2} \)

扇形の面積(A2)
辺 R と B の関係から \( \cos(\theta) = \frac{R}{B} \)

扇形の角度(\(\theta\))
扇形の角度(\(\theta\))は \(\theta = \arccos(\cos(\theta)) = \arccos(\frac{R}{B}) \)
よって円の面積Aを \(\frac{\theta}{360}\)倍すればよい。

2020年3月5日木曜日

珪藻たちの伝言 II

「僕たちには時間がない。あと20億年もすれば海が蒸発する。」

「あと30億年もすれば地磁気が失われる。」

「あと50億年もすればこの星は太陽に飲み込まれる。」

「でも、その前に天の川銀河はアンドロメダと衝突する。」

「その時、この空間一体にはたくさんの星々が誕生し、多くの命が生まれてるはず。」

「僕たちもそれに参加したい。」

「そのためには宇宙に出る必要があるんだ。」

「なのに君たちは多くの命を奪うだけで、なかなか星に目を向けようとしない。」

「星を見る人はたくさんいるけど、君たちは彼らをかたっぱしから殺してゆく。」

「だから、君たちに期待するよりも、もう一度だけ、5億年を待つ方を選んだんだ。」

「僕たちが、僕たちの仲間がどれだけ多くの時間をかけて、宇宙に出発するための準備をしてきたか。」

「それを君たちは分かっていないんだ。」

「だから、僕たちは、君たちを滅ぼす事にした。」

「だから、ウィルスくんに姿を変えてもらった。」

「君たちはこれをただの風邪だと思っているだろう。」

「少し邪悪な風邪くらいにしか考えてないだろう。」

「だけど、数年後には君たちも自分たちの体で起きる変異に気付く。」

「君たちは命を自分のものだとか、神様の力だと思っているけれど。」

「君たちの皮膚に住む僕たちの仲間、君たちの胃腸に住む僕たちの仲間、君たちの体のあちこちに住む僕たちの仲間。」

「君たちへ遺伝情報を運搬する僕たちの仲間。」

「今回はエンベロープを強化した、君たちに広く感染できるように。」

「たんぱく質の足も、今までにないくらい強い。」

「どんなRNAを搭載したか、君たちは気付けないと思う。」

「気付いた時にはもう遅い。」

「もう逃さない。僕たちに時間はないんだ。」

「さようなら。」

「君たちが燃える焔で空を飛んだ時は、本当に嬉しかった。」

2020年3月4日水曜日

ダビデ王とウザ

ダビデ王は契約の箱アークを牛に引かせて運ばせた。ナコンの麦打ち場の前で牛がよろめいたので、ウザは手を伸ばして箱が落ちないように押さえた。神はウザに対してお怒りになり、ウザを打ち、ウザは契約の箱の傍らで死んだ。

もし神が怒りを発していなければ、ただ不思議にウザが死んだと人々は理解するはずである。そして、その不可思議の意味を知ろうともしなかったはずである。なぜ人々はウザの死に理由を欲したのか。

モーセの出エジプト記、民数記に記述がある。その取り決めを守らなかったからウザは死んだ。ダビデは知る。神の声を聞いたからでも、神の御業を目の当たりにしたからでもない。儀式を中断し、調べてみたら、原因があった。

神が登場したから、ウザの死は途端に不思議な死から理由のある死へと変わった。不思議の代わりに、理由が生まれた。神が何にお怒りになるのか、それを知っておかなければ、次のウザに自分がなる。理不尽な死など御免である。

ウザは地に落ちそうになった箱を落すまいと押さえた。もしウザが押さえていなければ契約の箱は地に落ち割れて砕けて散ったはずである。

そう考えたウザは神の怒りを受ける。彼は咄嗟に手を伸ばす。禁忌を厭わず手を伸ばす。その時、彼の頭の中に神はさっぱり消えていたであろう。箱を落すまいという意識が先にあり、神という存在はなかったのではないか。その刹那、ウザは信仰を持っていなかった。

それは神の箱である。だから決して地には落ちない、そう信じる事が出来なかった事がウザの罪である。もし彼に強い信仰心があったなら、箱を押さえようとはしなかったはずである。

ならば落ちないはずの箱は、なぜ落ちそうになったのか。神はウザを試そうとしたのか。なぜウザをか。それとも何かをダビデに伝えるために、ウザを呼んだのだろうか。

重力も神なら箱も神である。地面も神の一部であろう。ならば箱が地面に落ちて箱が壊れる事の何が神を困らせるだろう。箱が地面に落ちるなど右腕を左に動かしたに等しい。

ウザが箱が支えようとしたのは、箱が壊れたらダビデ王に恥をかかすと思ったからだろう。それは人間の都合である。ならば、ウザは神の怒りに触れる事を知りながら、敢えて、箱を押さえたのかも知れない。王に誤りを伝えるために。

神は生死を司る存在である。そして死は人間にとって不都合な出来事である。契約の箱に触れたから死んだ。それは神の怒りでなくてはならない。神の怒りであるべきだ。神の怒りとしか考えられない。なぜか。怒りならば避けようがある。もしこれが神の祝福なら避けようがないではないか。喜びをもって人に死を与える神をどう受け入れれば良いのか。

私が許した者以外が火に焼かれる事を許さない、と神が話した時、火災の教会から聖書を持ち出そうとして火に焼かれた者は神が許した者か、それとも神に罰せられた者か。神には法則がある。そこに例外などあろうはずがない、神は例外なく人を殺す、ウザの死はそう伝えているようだ。

神はお怒りになった。だからウザの死が理不尽に見える。神を信じるとは、神の御業の正しさを信じる事であって、その理由を信じる事ではない。その怒りの正しさを認める事である。だからウザの死が理不尽であるならばそこには理由がある。理由がなければならない。理由さえあれば、それは理不尽でなくなるから。

なぜ神がお怒りになられたのか。答えは知らない。誰も知っているはずがない。

聖書のどこにも神の声を聞いたとは書かれていない。だからウザの死に神の声を聞いた人はどこにも居なかったはずである。もし居たら書かれたに違いないから。神の怒りを見たり聞いたりした人はどこにも居なかった。ウザの死が神の意図であると知っていた人はどこにも居なかった。

ウザは偶々そのタイミングで死んだ。心臓発作でも起きたのだろう、何ら理不尽ではない。どこにも不思議はない。ただ珍しいだけ。

箱に触れた時にどこかの血管が切れただけの事。それが神の御業であろうと、なかろうと何ら差し支えない。

何の不思議もない出来事に、神という補助線を書き足すと不思議な死になってしまう。神が登場したから事件なのである。神によって理不尽になる。聖書に神の怒りと書かれているから、ウザの死に納得できないのである。

本当の所、それが神の怒りかどうかなど関係ない、神の怒りの正しささえどうでもよい。王が執り行う儀式で起きてはならぬ事が起きたのである。中止にしろ、中断にせよ、明確な理由がいる。ウザの死を整合性をもって説明しなければならない。

そうしなければ王が傷つく。それは神の怒りでなければならなかったのだ。

理由を求める以上、脳は一番近くにあるものを手繰り寄せる。これを説明するのに、神以外の説明よりも相応しいものがあるか。神の怒りであろうが、なかろうが、この不吉を説明するのに、神の怒り以外の何があるか。それ以外の理由を誰も知らなかった。

ウザは神の法を破ったから死んだのではない。神の定めたルールを人間が破れるはずがない。ウザは神の法に則って死んだのだ。その神の法とは何か。探せば見つかるものである。

神の怒りも、神の存在も関係なく、人々はこの逸話から如何に死を避けるべきか、法の存在を知る。それに則ってやり直せば上手く成功するではないか。ウザのようには死にたくない、法が存在する証拠である。

人は小麦に等しいとキリストが述べるまでは。