シーン | 出来事、セリフ | 意図 |
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沖、夜 | ガンボードが燃えている。二度の爆発。 正面から爆発する描写。 側舷から海に飛び込むインダストリアの戦闘員たち。 沈むガンボードを海で漂う脱出した乗組員たちが見ている。 遠景から海が燃えている描写。最後の大爆発。 | 知らない人が見ても、面白そうと思われるようにインパクトのある出だしから始める。 |
海岸、朝 | 砂浜。打ち寄せる波。蟹が戯れている。 | 時間の経過。沖合から場所が移動した事を暗示。 |
村 | 村の通りを歩くインダストリアの乗組員たち。家の中から除くハイハーバの村人たち。 家の中から除く描写。 家の地下室に閉じ込められたジムシーと村長も覗いている。 村長「ジムシー、間違いないぞ。見たか、あのしょぼくれた様子を。」 ジムシー「うん。」 | モンスリーたちは落ち込んでいないのかという暗示。 |
地下室 | 村長「やっぱりあの音はやつらの軍艦が沈んだ音だったんだ。」 ジムシー「もう大砲使えないね。」 村長「それだけじゃないぞ、もう麦を取り上げても持って行けないって訳だ。」 おばさん「ラナを連れてゆくことも出来ないわ。」 おじさん「うーむ。だが、ラナはどこに収容されているのか。」 村長「心配するな先生。この島から一歩も出てないわい。」 ドアが開き、インダストリアのクズウが入る。 クズウ「医師のシャン、モンスリー議長がお呼びだ。出ろ。」 ジムシー「おじさんだけ?オレは?」 クズウ「お前は関係ない。早くしろ。」 | 初見の人でも物語に入れるよう最小限ではあっても状況を説明する。 |
執務室 | 窓の外は明るい陽射し。 二人の部下が力なく立っている。 モンスリーのバストアップ。 モンスリーは立ったまま戦闘員たちに話をする。 モンスリー「ラナを船室に残したまま逃げ出してきたって言うわけね。」 戦闘員1「申しわけありません。」 戦闘員2「誘爆と火災が酷くて脱出するのが精一杯でした。」 モンスリー「弁解はやめなさい。大切なガンボートを失った上、ラナまで。」 そこにシャンが部屋に入ってくる。 モンスリー「生死不明にして済むと思っているの?」 モンスリー「お前たちは三等市民に降格します。下がってよろしい。」 戦闘員「はい。」 部屋から出てゆく戦闘員のふたり。 モンスリーに駆け寄るシャン。 シャン「ラナはあの船に乗っていたんだな。」 モンスリーがきちんと椅子に座る。 シャン「無事なのか?」 モンスリー「残念ですが船室に入ったまま沈んだという事しかわかりません。」 シャン「なんという事を。見殺しにしたのか。」 モンスリー「お待ちください、先生。ガンボートを爆破した犯人はコナンなんです。姪御さんが死んだとしたらその責任はコナンにあります。」 わなわなするシャン。 モンスリー「お陰で当方にも負傷者がたくさん出ましたの。その手当をして下さいません?。」 シャン「断る。」 モンスリー「これは命令です。背けば奥さんを射殺しますよ。」 ドゥーケが入ってくる ドゥーケ「お呼びですか?」 モンスリー「では忙しいものでこれで。」 クズウに連れられてシャンは出てゆく。 モンスリー「ドゥーケ、すぐ村の人間を全員広場に集めなさい。集合出来次第直ちにバラクーダ号の沈んでいる入り江に出発すること。」 ドゥーケ「はい。」 敬礼して執務室を出るドゥーケ。入れ替わりに次の命令を受けるための部下が前に出る。 部下「風車村へ出発します。」 モンスリー「大事な任務です。風車村から船の引き揚げと修理に必要な資材を残らず調達しなさい。」 部下「はいわかりました。」執務室から出てゆく。 執務室の外で立ち話をしているの部下たち。 「驚いたね隊長には。ガンボードをやられてもビクともしてないぜ。」 モンスリーが声を掛ける。 「オーロを呼びなさい。」 「はっ。」 オーロのアップ。 オーロ「なんだよ、直ぐに人質を処刑しないのか。このまま有耶無耶にしたら舐められるだけだぜ。」 モンスリーと二人で会話している。フランクに机に腰かけている。 モンスリー「そういうあんたはコナンの銛が怖いんじゃなあい?」 オーロ「言うなよ、今度会ったら蜂の巣にしてみせるぜ。」 モンスリー「頼もしい事。その勢いでコナンを必ず捕まえてきて頂きたいわ。」 クズウがお茶をもって廊下を歩いている。入れ替わりでオーロが出てゆく。 モンスリー「クズウ!」 クズウ「はい。只今。」 モンスリーの執務室。椅子に横向きに足を組んだまま。 モンスリー「弾薬の残りは調べた?」 クズウ「はい、えーと、弾薬のほとんどがガンボートに積まれたままでした。」 モンスリー「戦闘を一回やればなくなってしまうわね。」 クズウ「はあ。節約するよう命令はしましたが。」 お茶に口を付けるモンスリー。 モンスリー「ふふふ。」 笑い出す。クズウ驚いて クズウ「はあ?」 モンスリー「これ本物の紅茶ね。20年振りだわ。」 クズウ「次長、我々はどうなるんですか、船はないし、ラナは沈んじまうし、弾もないし。このままこの島に取り残されてしまうんですか?」 それを聞いたモンスリーは目を見開いて笑う。 モンスリー「はっはは。船がなければバラクーダを引き揚げればいい。ラナが死んだのなら村ごと人質にすればいいのよ。人質を処刑するのに何発の弾が要るって言うの?太陽エネルギーさえ手に入ればガンボードの損失なんか問題じゃないわ。村を占領しているのは我々よ。それを忘れないように。」 クズウ「はい。そうですね、元気が出てきました。」 モンスリー「分かったら行きなさい。」 クズウ「はい。」 部屋を出る。 執務室にモンスリーただ一人。 沈黙、考え込んでいる。 そこに外から鳥の鳴き声。 | ガンボートの乗組員、シャン、オーロ、クズウ、それぞれで、立っている、椅子に座る、机に腰掛ける、と振る舞いが違う。振る舞いの違いによって相手との立場を暗示する。 シャンを登場させたのは、モンスリーと対話させ、ラナの状況、コナンの状況を会話で説明するため。 部下の動きから効率の良さを示し、モンスリーに優れた指導力がある事を暗示する。 その後のひとりにする事で騒々しさから静寂への対比させ、回想への自然な流れを作る(騒々しい時に回想するのは自然でないため)。 (暗示とは振る舞いで示す事、明示はセリフで示す事) |
裏庭 | モンスリーが裏庭に出る。 ベンチに座りふうと呼吸する。 陽射しを受けている。 ふと気づく。犬が歩いている。 モンスリー、急に明るい顔になって(プライベートの顔に戻って) モンスリー「犬だわ、まだ犬が生き残っていたなんて。ムク、ムク、おいで、ムク。ムク。」 去っていく犬。 モンスリー「ムク…」 顔をアップにしてゆく。回想への導入。犬の鳴き声がする。 | 犬を回想のきっかけとする。またハイハーバーには自然が残っておりインダストリアとの対比を強調する。 これはハイハーバーの方がインダストリアよりも良い環境 (≒正義) である事を暗示している。 |
回想 丘 | 子供の声で「ムクー、ムクー、ムクってばー。」 走っている茶色の犬。 丘を走っている思春期のモンスリー「駄目よー戻ってらっしゃい。」 おばさん「モンスリーちゃん、出かけるわよー。」 丘の下に車が止まっている。おじさんとおばさんの影。 振りむいてモンスリー「待って。ムクがいけないの。」再び走り出す。 木を挟んで追い駆けっこするモンスリー「駄目よ。」 ムク「ワン、ワンワン。」 モンスリーが捕まえようとすると逃げ出すムク。 モンスリー「ムクったら。ワーーン。」しゃがみこむ。 心配して近づくムクに抱き付くモンスリー。 モンスリー「捕まえた。ウフフ。」 ジェットエンジンの音。上を見上げるモンスリー。 丘の上を飛行する爆撃機の編隊。 心配そうなモンスリーの顔。 無音ブラック。 辺り一面が火災の中、倒れているモンスリーの顔を舐めているムク。 ムク「キュンキュン。」 目を開けるモンスリーが立ち上がる。 遠景まで地割れして火災を起こしている都市と都市と都市。地平線の向こうまで横にパンしても赤い。 見つめるモンスリー。 地平線の向こうから都市群のビルさえ飲み込む巨大な津波が向かってくる。 それを見つめているモンスリー。その足元で横たわっているムク。 モンスリー「海が来る。」 ムクを起こそうとするモンスリー「ムク、ムク。ムク、どうしたの、ムク。」 津波がすぐそばに迫ってくる「起きてムク。ムクー。」一人と一匹を飲み込む津波。 | 大変動前のモンスリーを描く。この描写で敵であるモンスリーの内面を描き、視聴者に対して悪人から少しニュートラルな方向に立場に置くお膳立てをする。 津波をここで描く事で、大変動時には津波が合った事、津波が起きる事は自然である事、津波が突然起きるわけではない事を暗示する。 |
回想 海 | 穏やかな海の色。木製の扉の上で横たうモンスリー。 そこに船がやってくる。それはガンボード。多くの人が甲板上に居る。 船の甲板「人だ、女の子らしいぞ。」「生きているの?」「機関停止。」「船を止めろー。」 ステップの上からモンスリーを助ける人「おい、まだ息があるぞ。」 | 生き残った事、孤独である事を暗示する。 |
回想 ガンボート | 若きモウに抱えられ震えているモンスリー「安心しお嬢ちゃん。おじさんたちとインダストリアへ行こうな。」 モンスリー「ムクが、ムクが…」 海上を疾走するガンボード。サイレンの音。重なる今のモンスリーの顔。 | モンスリーがなぜインダストリアに居るかを描く。またインダストリアが決して悪い国ではない事を描く事で、レプカに敵 (悪)を集約させる。これは対立関係を単純化し分かり易くするために必要である。 漫画版ナウシカを読めば、もっと複雑な人間関係でも想定できる事は想像に難くない。 |
裏庭 | ベンチに座って思い出にふけるモンスリーの姿。塀の上から見ている。 見ているコナンの顔。 芝生の上のコナンの足、近づいてくる。足音。 気付くモンスリー、目を開ける。下から上へパンする視線。コナンの姿。 驚いた顔のモンスリー「コナン。」 対面しているコナンとモンスリー。 モンスリー「ラナを助けてくれた?」コナン頷く。 モンスリー「フフ、ほんとにあなたって子は。」表情が変わる「でも、手加減はしないわ。」 銃を抜くすぐに撃つモンスリー。素早く避けるコナン。 合計八発を撃つがコナンは逃げてゆく。部下たちが駆けつける。 クズウ「なんですか。」 モンスリー「コナンよ。」 クズウ「え、どっちに逃げました?」 モンスリー「無駄よ。」 さっさと執務室に戻るモンスリー。 茫然としてそれを見ているクズウたち。 | ラナが無事である事をモンスリーが知る必要はないため、ここでモンスリーとコナンが出会う事は必然ではない。 しかし、コナンにラナの無事を聞く口調、コナンがラナを救う事を信じていた会話から、二人の間に信頼関係が存在する事を暗示する。更には、モンスリーが仕事に忠実であり、敵対関係である事も強調する。 |
麦畑 | 軽快な音楽、麦畑を走っているコナン。 | 走るシーンを挿入する事で場面を切り替える。音楽を挿入する事で気分を変え、モンスリーのシーンを忘却させる。 |
廃墟の家 | 焼かれた家を覗き込むコナン。 ガル「コナン、こっちだ。」 コナン「おじさん。」 ガル「早くこい。」手招きしてコナンを家の中に呼び込む。 家の中の焼け具合を見てコナン「ひどいな。おじさんラナは?」 ガル「生簀の洞穴に残してきた。あそこなら見つかる心配がないからな。」と薬品を手にする。 火薬を調合しているガル。 ガル「そうか、やっぱりあのバラクーダとかいう船を引き揚げて直すつもりか。そうはさせんぞ。」 コナン「おじさん、また爆弾使うの。」 ガル「ん?」 コナン「爆弾はもうやめようよ、怪我人が出るもの。」 ガル「コナン、よく聞け。麦刈りが迫っとるんだ。村中あげてやらにゃならん仕事だ。船の引き揚げなんかにこき使われとったら麦の穂がみんな落ちちまうんだ。しかもありゃ鉄の船だぞ。鉄を打つのに島中の木を切って炭を焼くことになる。あの船の帆布とロープを作るのに村中の娘がかかっても何か月もかかるだろう。やりゃにゃならん。あのぼろ船を真っ二つにしちまうんだ。」 コナン「分かった。直せないようにしてしまえばいいんだね。」 ガル「その通り、やつらの先手を打つんじゃ。忙しがにゃならんぞ。」 コナン「うん。」 ガル「今度のはシャンの薬も入れたからな。」 爆弾を見せてガル。「あんな船、一発でドカーン。」 | これからの展開を説明する。モンスリー、村人はバラクーダ号を引き揚げるために海岸に集まる。コナンたちは爆破するために海岸に集まる。これで物語は海岸を中心に進む事を説明した。これは津波に遭遇するのを自然とするため。この理由がチープだと B 級映画に見える。 出来事は、自然に、かつ必然に、かつ偶然でなければならない。 |
海岸 | バラクーダ号の船長室のダイス。 振り向いてダイス「な。なんだ今の音?」 辺りを見回しつつダイス「落ち目になるとオドオドしていけねえな。」 ダイス何かに気付いて船の窓から外を見る。 ダイス「かっ。」窓から隠れる。 こっそり浜を見る。浜辺に人だかり。 ダイス「何の騒ぎだこりゃ。」 浜辺に村人が集まっている。 船長とジムシー。 指示をしているモンスリー。 ダイス「村中がこの入り江に集まっているぜ。」 ボートで沖に沈んだバラクーダに近づく戦闘員。 ダイス「まずいぞ。こっち来る。」 ダイス「スープ、スープ、あ。あちい、ダアー。最後の食い物が。」逃げ出すダイス。 バラクーダ号から飛び降りるダイス、その反対側に戦闘員のボートが横付けする。 ダイス「ありゃ背が立つぞ。ずいぶん潮が引いたな。」歩いてバラクーダから離れるダイス。 島影からバラクーダを見ている二人。 コナン「おじさん、みんなもう来ちゃっているよ。」 ガル「うむ、早いとこ仕掛けにゃならんな。」 海の中を顔を沈めてそっと近づくコナンとガル、反対に離れるダイス。気付かず擦れ違い。 | ダイスは笑いを作れるキャラクターだ。彼を登場させることで、海岸の状況を説明すると共に、笑いで小休止を入れる。ダイスがここで船を降りるのはラナと出会う為である。 |
森 | 途方に暮れて歩いているダイス。 芝居がかってダイス「あー、俺ほど不幸な男がいるだろうか。船を失い、食い物を失い、身を隠す所とてない。ガク。」 ウマそうの鳴き声がする。 ダイス「子豚だー、おいでおいで子豚ちゃん。食べないからおいでおいで。」 ダイス「さぁとんかつちゃん。棒でぶったりしないよー。」後ろに棒を隠しながら。 ダイス「ちょっとこっつんこするだけだからね。」 棒が振り落される、ダイスに。 気絶するダイス、棒を手にしたラナの姿が。 ラナ「船長さん。」 ダイス「ラナちゃん…」 | 道端で偶然にラナと出会っても嘘くさくなる。ラナとダイスが出会うのにもイベントが必要である。ダイスはコントによって自然に話を進められる便利なキャラクターである。 |
洞穴の中 | フライングマシンが海に係留されている。 ダイス「いやー。これはすごい隠れ家ですな。してこのみょうちきりんな乗り物は?」 ラナ「おじいさんが昔使っていたんです。」 ダイス「ふーむ。ラオ博士が。あの人は立派な方だ。で、コナンは?」 ラナ「村の様子を見に行ってます。」信用していない顔付きと声で。 ダイス「ほうですか。久しぶりに我々二人きりという訳ですな。」急にお腹の音。 ダイス「いや、腹が減って、腹が減って。」照れているダイス。 ラナ「魚で良ければ一杯あります。ここはガルおじさんの生簀ですから。」 ダイス「いや、そうですか。では早速。なるほど。相当魚影が濃いいですな。」 生簀に顔を突っ込むダイス。そこに魚が来て顔を噛む。 ダイス「あイタイイタイ。」 生簀の魚が騒ぎ始める。飛び跳ねる魚。 ダイス「ここの魚はどうかしているぞ。」 ラナ、生簀から出て崖の上へ向かう。 ダイス「ラナちゃん?どこへ。待って、待って。」 | フライングマシーンは、次回への布石である。ここでダイスに説明させることが伏線になっている。魚が暴れる事で、ラナが異変に気付く。ここから物語は終盤に向かって進み始める。 このラナの気付きが自然に描ければ、その後の全ての出来事が自然に感じられる点で重要である。そこにダイスのコントを差し込む事で、より自然に伏線を印象から消し去る事ができる。 |
崖の上 | ダイス「どうしたんだい、急に。」 ラナ「テキィたちがいない。」 ダイス「テキィ、あの鳥か。」 静かな島。林からも音がしない。海も静か。空も静か。見回すダイス。 ダイス「そういや、やけに静かだな。波ひとつないぜ。」 ラナ「前もこれと同じことがあったわ。インダストリアのサルベージ船にいた時に。」 | ここで何かが起きる事を暗示しているが、CM 明けにはラナには確信になっている。この変化は CM の間に起きるのであって、そこを自然とするために CM 前に強い印象を視聴者に持たせておく。 |
パタパタ | ||
海岸 | バラクーダ号。トンカン音がする。船体を修理中。 「よいせ、こらせ。」 コナンとガルが船の入ろうこっそり近づく。 ガル「こう見張られては中に潜り込まんと仕掛けられん。」 海を見てコナン「おじさん、何だかおかしくない?海が浅く成り過ぎてる。」 遠くまで潮が引いている。 ガル「何年かに一回はこれくらい引くことがあるんじゃ。さぁ行くぞ。」 モンスリー「いい具合に潮が引いてくれたわね。」 クズウ「もうすぐ穴の改善(?)が終わるはずです。」 モンスリー「潮が満ちたら船が浮くわ。後は分かっているわね。」 クズウ「はい、連中に命令して一気に岸まで引き寄せます。」 浜辺で座っている村人の方を見る。 クズウ「へへへ。おとなしいもんでさあ。」 モンスリー「オーロたちは?」 クズウ「コナンを探しに出たっきりです。」 モンスリー「そう。」 バラクーダの方を浜から眺めている。 | 津波の前に潮が引く事のは必ずしもそうではない。しかし子供には印象深く残る知識である。 |
森 | オーロを呼ぶ仲間。 オーロ「どこだ?」 指さす方向に崖の上のラナ。 仲間「ラナだけじゃなく、ダイスまでいるぜ。」 オーロ「やっぱりな。海の近くと睨んだ通りだったぜ。 | ラナとコナンの間に起きる事を自然とするためにオーロが必要であった。物理的にふたりは会えないけれど、気持ちが繋がるためには二人の間を邪魔する人間が必要なのである。 |
崖の上 | ダイス「ラナちゃん。その異変って何が起こるんだい。」 ラナ「わからない。でも海から何か来るんだわ。」 ダイス「海から?」 ラナ「村の人に知らせなきゃ。」 ダイス「村の連中ならみんな入江に集められているぜ。」 ラナ「たいへん。」走り出す。 ダイス「ああ、待ちな、海にいっちゃいけねぇ。モンスリーたちが居るんだ。捕まっちまうぜ。」 ラナ「船長さん、お願い。この子豚、ジムシーのなの。預かってて。」 ダイス「ラナちゃん。」 ラナ「早く海から離れて。高い所に逃げて。」 ダイス「ラ、ラナちゃん。た、高い所、、。」ひとりで慌てているダイス。 | ラナもダイスも決して津波とは言わない。ダイスには津波の知識はあるはずだし、海から来て高い所に逃げるものが津波であることは簡単に思いつくはずである。しかしそれに気付かない。 視聴者はそれを知っており、物語の中では誰も気付いていない視聴者の知識優位の状況を作る。これで視聴者に危機感が増幅される。と、同時に物語の中で気付いた時にどうなるかを想像する面白さが加わる。 |
森 | 走ってゆくラナ。待ち構えるオーラたち。 オーロ「よー。」ラナを取り囲む。 オーロ「へへへ、おっとっと。」 ラナ「通して、早くしないとみんなが死んじゃうの。」 オーロ「おー、そいつは大変だー。みんな死んじゃうのかあ。」 ラナ「海が変なの。異変が起きるのよ。早くみんなに知らせないと。」 ラナをつかみながらオーロ「うるせえ。下らねえ御託を並べるんじゃねえ。」 ラナ「本当よ。村の人が。」 オーロ「そんな事はどうでもいい。そのお嬢さん面が気に食わねえんだよ。博士の孫だってんでみんなちやほやしやがってよ。だがな、俺は違うぜ。言え、コナンはどこだ。」 ラナ「早くしないと間に合わなくなっちゃう。信じて。」 オーロ「信じてだとよ、イッヒッヒヒヒ。」バカにした笑い。 ラナ「オーロ、あなたってどうしてそんな人間になっちゃったの?」 オーロ「ええい、黙れ。」ラナを突き飛ばす。 ナイフを出して脅す。 オーロ「さあ可愛い子ちゃん、ゆっくり話をしようじゃねえか。逃げようなんて考えねえことだぞ。」 ラナ「コナン…」 | オーロはここで二人の間に起きる事にリアリティを与えるために必要とされたキャラクターであり、これが終われば話からは退場する運命である。ここでオーロは思いっきり悪い人間として描いている。通常ここまで悪に染まったキャラクターは更生不能である。しかし津波が来ているにも係らずそれを無視する (馬鹿として描く) にはこういう描き方をしないと説得力が出ないのである。 |
海岸 | 火薬を取り付けているコナン。 振り向いて「ラナっ。」 ガル「ラナ?」 コナン「ラナが今呼んだ。」 ガル「はあ、空耳じゃろ。コナン、導火線を寄こせ。」 ギシシシ。バラクーダが横にかしぐ。 修理中の村ひとたち、ドンゴロスが滑って海の方に落ちる。 海の中だと思って泳ごうともがくドンゴロス。 ドンゴロス「うん?水がない。」 浜辺の村人もそれに気づく。「どうしたんだ、どうしたんだ。」立ち上がる村人たち。 戦闘員「座れ、座れ。座らんと撃つぞ。」 戦闘員「座れ、聞こえんのか。」村長とジムシーも座る。 先ほどよりも更に潮が引いている。 浜辺には逃げ遅れた魚が跳ねている。 先ほどまで海に使っていた島の完全に姿を現す。 ジムシー「おじさん。」 クズウ「やけに静かですね。」 モンスリー「詰まらぬ事言ってないで作業を続けさせなさい。」 コナン「おじさん、大丈夫?」 ガル「まずいぞ、コナン、導火線が濡れてしまった。」 コナン「おじさん、出直そう。どうもおかしいよ。」 ガル「何が。潮が引いたんでかしいだだけだ。」 コナン「違うよ、さっきから変なんだ。胸がどきどきするんだ。」 ラナの声「コナン。」 | いよいよ事が起きるための準備段階である。次第に近づいてきている事 (時間経過) を暗示する。また、バラクーダ号の爆破は失敗させなければならない。そのためには導火線が湿ってしまうのが必要であった。演出としては、例え予備を持っていたとしても、それも使えなくさせるイベントを挿入すれば良いだけである。 |
森 | オーロのナイフの前で目を瞑っているラナ。 ラナ「コナン、海を見て。」 | コナンが海を観なければ津波に全員が飲み込まれる状況がここで揃う。ここでラナとコナンの間の思いが通じるかが物語の趨勢を決める事が決定的になる。 |
海岸 | コナン「海を見るの?」 | コナンには聞こえている。しかし、まだ動かない。これは観客を焦らすためである。 |
森 | ラナ「海を。」 オーロ、ラナに平手打ち「この、この、やい、どうしたってんだい。返事をしろい。」 ラナ「コナン、海を見て。」 オーロ「こいつ、俺を甘く見てやがんな。」部下の二人は不安を隠すような表情。 オーロ「さあこれが最後だ。答えないとその顔を切り刻んでやるぞ。」 木の影から見ていたダイス、胸にウマそうを入れたまま「オーロめ。なんという事を。くーー。やめろー。」 ラナに駆け寄るダイス。 ダイス「ラナちゃん、ダイス、お役に立ちますぞ。キエー。」空手の格好をするダイス。 ダイス「いただき-。」ラナを抱えて走り出すダイス。 オーロ「待てー。」拳銃を撃ちながら追い駆けるオーロたち。 声に出して叫ぶラナ「コナン、海を見て、海を見て。」 | ラナに叫ばせるためにダイスが登場する。ダイスはラナを海岸に連れてゆくのが目的であった。コナンに思いが通じたのでオーロの役割も終わったと言える。 |
海岸 | 飛び上がってコナン「うん、海を見る!」 ガル「おい、コナン、どうした。」 コナン、バラクーダの船底から駆け上って甲板に出る。 戦闘員「コナン!」 コナン、マストの上を駆け上る。 戦闘員の銃声。 モンスリーが振り向く、ドンゴロス、村人。 ジムシー「コナンだ。」 バラクーダ号マストの上。 遠くの海。 コナン「はあー。」 ずうっと遠くまで潮が引いている。水平線だけが揺れている。 目を凝らすコナン。 水平線はもっとはっきりと揺れている。津波? コナン「!、津波が来る。」 マストから下に向かってコナン「みんな逃げろー、津波だ。」 たちまち銃を浴びせられる。 コナン「津波だー。やめろ、危ないじゃないか。」 コナン銃弾を避けながら声がもっと伝わるようにマストの先へ移動する。 コナン「津波が来るんだよー。津波だってばー。」 戦闘員にはコナンの声は聞こえていない。 ロケット弾を撃とうとする戦闘員を制して。 モンスリー「お待ち。コナン、蜂の巣にならないうちに降伏なさい。」 マストの上からコナン「みんな聞いて、津波がこっちに向かっているんだ。だから水が引いたんだ。」 モンスリー、顔をしかめる。村人騒然となる、戦闘員も慌て始める。 コナン「高い所に逃げるんだ。急げ、早くー。」 後ずさりする戦闘員たち。 銃を空に向けて撃つモンスリー。 戦闘員に向けて銃を構えて「逃げるものは射殺します。」 村人に向かって戦闘員「座れ、動くな。座れ、動くものは撃つぞ。」 モンスリー「コナン、そんな嘘を私が信じると思うの。」 それを聞いてコナンはマストから滑車付ロープを使って降りてくる。 ゆっくりとモンスリーの方に歩いてきて無言のまま。 それを見るガル、ドンゴロス、村人。 コナン、モンスリー。無言のまま。 モンスリー「本当なのね、コナン。」 頷くコナン。 力が抜けたモンスリー。 コナン「みんな、逃げろ、急いで。」 戦闘員もパニックのように逃げ出す。作業していた村人たちも一斉に丘の方に向けて逃げ出す。 船長「走れ、丘まで急ぐんじゃ。」戦闘員も村人も交じって走っている。 撃ち捨てられたライフル銃、靴などを踏み越えて逃げる人々。 | 津波に気付いたコナン。しかし気付くだけでは足りなくて、モンスリーがそれを信じるまで。ここで二人の信頼関係が完結するのであるが、その演出には様々である。射殺まで言っていた人が急にコナンを信じられるのは何故か。ここに来て二人の間にはある種の信頼関係が合った事が重要になってくる。全くの敵対関係にあれば、このような展開には出来なかったはずである。 |
海岸 | コナンを待っていたジムシー。 ジムシー「コナン。」逃げようとする。海の方を見るコナン。 モンスリーが逃げるともなく一人立ちすくんでいる。 コナン「モンスリー。」戻ってゆくコナン。 モンスリーの所まで戻ったコナンとジムシー。 コナン「モンスリー、何しているんだ。早く。」手をつかんだ所で沖を見る。 目前にまで押し寄せる津波。 コナン「来た。間に合わない。」 その時に銃声が。 オーロに追われてダイス、ラナが浜辺へ来る。 ダイス「逃げろー。津波が来るぞー。」叫びながら一目散に走るダイス。 コナン「ラナ」 オーロが立ち止まって一発撃つ。その時に仲間の二人津波に気付き逃げてゆく。 転ぶダイス、放り投げられたラナをコナンがキャッチする。 オーロ「コナン。この間の礼をたっぷりさせてもらうぜ。」 コナン「それ所じゃない。あれを見ろ。」 津波は巨大になり更に近づく。 オーロ「うるせぇ。けりを付けぬうちは逃がさねぇぞ。」 コナン「ようし僕だけなら相手してやる。」 ラナ「コナン。」 コナン「みんなバラクーダに乗るんだ。急いで。船長、モンスリーを。」 ダイス「合点だい。」 ラナ「コナン。」 ジムシー「早く。」 大津波の前に対峙するオーロとコナン。 オーロ、銃を捨てナイフに持ち変える。 オーロ、イヤーとの掛け声でコナンを突く。コナンは笑顔で軽くしゃがんでかわす。下から切りつけるがこれも余裕でスウェーバックでかわす。横に切りつけてもジャンプしてかわす。驚いて再度突いた所で右足の指でナイフをつかみ、左足でオーロの顔を蹴るコナン。ナイフをぐにゃりと曲げるコナン。 オーロ「止めろー。」 殴りかかるオーロ「くそう」 さっと避けて背中を叩いて気絶されるコナン。ガッツボーズを取るも、直ぐに津波を目にしてオーロを抱えて走り出す。バラクーダ号を駆け上るコナン。 | 重要な役を終えたオーロの最期に見せ場。オーロはコナンに対してライバル心、敵対心を持っていたが、この直接対決で、それを砕いておく。これでこの後の展開で一切登場する心配がなくなる訳である。 |
遠景 | 迫る津波。 ついに津波が島を飲み込む。 バラクーダの上から津波がかぶってくる。 砂浜を駆け上ってゆく津波。 ヘルメットや帽子が打ち捨てられた道を波が埋める。 木々の梢さえ飲み込み押し流してゆく津波。 ハイハーバ島の潮位がどんどん上がってゆく。 次第に上がる速度が遅くなり止まる。 丘に逃げた人たちの近くまで来る波。 波の中からバラクーダの浮かんだ姿が見える。 その光景を見ている村人たちと戦闘員たち。 海に浮かんでいるバラクーダ。 | この描写が大津波のメインであり、かつ、バラクーダを丘の上に陸揚げする事で、大団円でのあのシーンへの伏線となっている。 |
丘の上 | クズウ「あ、水が引いてゆく。」 丘の上から潮が次第に引いてゆく。 潮位が下がり、小島も姿を見せ始める。 バラクーダが森の中に取り残されている。 斜面に泊まり、水がどんどん引いてゆく。 遠くにある海。まるでカリオストロの城みたい。 | |
バラクーダ | バラクーダから出てくるコナン、ラナ、ジムシー。 コナン「船が丘に上がっちゃった。」 ジムシー「水が引いてくぞ。」 ラナ「村の人たち大丈夫かしら」 | 全員が無事である事を示す。 |
丘の上 | 喜ぶ村人たち。 村長「村は無事じゃ。良かった。」 肩を組んでいるドンゴロスとクズウ。 ドンゴロス「ははははは。で、どうなんだ、まだやるのか?」 クズウ「やるって?」 ドンゴロス「とぼけるな、戦争をまだやるのかって言ってんだ。」 クズウ「そ、そのちょっと待って。」 周りを見る。銃を取り上げられている戦闘員、手を上げる戦闘員たち。 クズウ「あああ、負けました、降伏します。」 | 戦闘員が敗北を認める。これは武力的に負けた事実を暗示している。 |
バラクーダ | バラクーダ号の中のモンスリー。ヘルメットを脱ぐ。じっと見ながら。 モンスリー「負けた。」 | モンスリーの自覚。これは武力的な敗北だけでなく、コナンとの信頼関係によってインダストリアへの忠誠が揺らいだ事を暗示している。 |
バラクーダ | コナン「さあ、思い切って飛ぶ。」 ラナ「えい。」 ラナ着地に失敗してコナンの方によろける。 コナン「うわ。」 ジムシーが笑っている。 コナン「船長、先行ってるよ。」 ダイス「ああ、おらあバラクーダの船長だからな。一番最後に船を降りるんだ。」 コナン「ラナ、行こう。」 村へと走り出す三人。 それを見るダイス「まったく大した奴だぜ、あいつは。」 笑いながら走るコナン、ラナ、ジムシー。 陸に打ち上げられたバラクーダ号の遠景。 | ハイハーバーから敵がいなくなり、不安が消えた状況を暗示する。 |
物語の流れと概要
大津波は、未来少年コナンの反撃の狼煙である。物語はここから反転し大団円へ舵を切る。ここで重要なキャラクターがモンスリーである。物語はモンスリーの裏切り (レプカから見て) により一気に進む。彼女は物語の趨勢を決定するキャラクターである。彼女はバランサーとして物語のシーソーを操る。
大津波では次の事を行った。
- モンスリーとコナンの関係(裏切り)
- インダストリアの降伏(戦闘員の処分)
- オーロの退場(ハイハーバでの争いの元凶を処分)
- バラクーダの陸揚げ(大団円への伏線)
- フライングマシン(手段の提供)
- フライングマシンの操縦者としてのモンスリー(手段の実現)
- インダストリアへの再渡航(動機付け)
津波によってモンスリーたちは降伏する。コナンたちが再びインダストリアへ向かう動機付けにする。物語の転換点が津波であった。全員が津波と遭遇するためには、津波は偶然でも必然の流れが必要である。
- バラクーダ号の爆破と沈没
バラクーダは浜辺近くで沈んでおく必要があった! - ガンボートの消失
沖合で沈没する必要があった! - バラクーダ号の引き上げが計画される必要があった
海岸に全員が集合する理由があった! - 海岸で作業を行う必要があった
これで全員が津波と遭遇する必要ができた! - 全員が津波と遭遇する
津波にはぎりぎりまで気付かないこと! - 津波によってインダストリアは敗北する
津波からの避難で壊滅した!
ラナはコナンと一緒にいてはいけなかった。もしふたりが一緒にいたなら異変に早く気付いてしまうだろう。そうするとコナンはそれをモンスリーに伝えるだろう。それではモンスリーたちが余裕をもって津波から避難できてしまう。
ここでインダストリアの戦闘員には退場してもらう必要があった。後顧の憂いなく戦闘能力を全て津波で洗い流しておく。モンスリーの強靭さも打ち砕いておく。完全な敗北によって初めて和解が説得力を持つのである。現実ならば戦闘員は村人によって射殺されたであろうが。
物語で起きる事象にキャラクターが気付かないのにはパターンがある。
キャラクター | 描き方 | 代表的なセリフ |
---|---|---|
ダイス | 気付く素養があったとしても、その時は間抜けとして描かれる。 | え、なんだって! |
モンスリー | 気付く素養があったとしても、気にしなければならないことが他にあった。 | そんな馬鹿なことが起きる訳ないじゃないの。 |
ラナ型 | 気付くのにその場にいない。 | みんなに知らせなくちゃ。 |
モンスリーの心理
モンスリーがハイハーバーに来た目的は太陽エネルギーの秘密を知るためである。その秘密を知るためにはラナが必要であった。ラナがラオと繋がるからである。なぜ太陽エネルギーが必要かと言えば、インダストリアのエネルギー問題である。エネルギー問題を解決しなければインダストリアは立ち行かない。原子炉は燃え尽きようとしている。
そうであれば津波が来たからと言ってモンスリーが心変わりするはずがない。当然コナンに救われたからと言ってインダストリアを裏切れるはずもないのである。
モンスリーが態度を変えるためには、考えが変わる必要がある。太陽エネルギーを得た所でインダストリアは救われないのだと。
モンスリーはそれまで異変はないと考えていた。しかし大津波と遭遇して異変に対する考えを改めたのである。異変が起きるのであれば彼女のこれまでしてきた事は意味がなくなる。彼女が浜辺で立ち尽くしているのは、津波が来たからではない、モンスリーがしてきた全ての事に意味がなかったと思い知ったからである。
パッチが言っていた。「インダストリアは海の底に沈む。」と。モンスリーは大津波によって初めてインダストリアが消滅するかも知れないと信じた。
彼女はゆっくりと考え始めたはずである。自分はどう行動すべきかを。物語の最期の主題は沈没するインダストリアからの脱出である。残念ながらこの主題はギガントの印象が強すぎてほとんど消えてしまうのだが。
このようなモンスリーの心理変化があって、始めてコナンと行動を共にする事が納得できるのである。モンスリーは何もコナンの事が好きになって一緒に行動するのではない。そういうキャラクターではないのである。
演出上はモンスリーの心境の変化は複数の描写によって説得力を補強している。それは、モンスリーは良い人だから良い人と分かり合えるのだと言う情緒的な説得と、異変の発生という両面から視聴者を説得するのである。「負けたわ」は様々な解釈が入り込む一言である。
- モンスリーの過去を描く
- コナンと優しい会話をさせる事で良い人にした
- コナンとの間に強固な信頼関係が成立した
- 過去の津波にトラウマを抱えていた
- 大津波の出現にショックを受けた
- インダストリアの戦闘員が降参した
このようなモンスリーはクシャナの系譜である。
作品 | キャラクター |
---|---|
ルパン三世 カリオストロの城 | 不二子 |
風の谷のナウシカ | クシャナ |
天空の城ラピュタ | ドーラ |
もののけ姫 | エボシ |
千と千尋の神隠し | 銭婆 |
ハウルの動く城 | ソフィー |
崖の上のポニョ | リサ |
風立ちぬ | 黒川夫人 |
演出の技術
物語の技術とは自然に事件を起こしたり新しい展開を導入する事である。それが唐突ならば物語からリアリティは失われる。クリエータは自然に見える技術を身に着ける。そこにはちゃんと法則がある。演出はその法則を応用した技術だ。
物語は次の3つから構成される。
- キャラクター
- 場所
- 時間
時間経過の表現方法には次の方法がある。
- 太陽、季節の描写
- 会話
- ナレーション
場面遷移の表現には次の方法がある。
- 風景の描写
- 人物による描写(人物が居る場所を暗喩する)
これに音楽や画面の色や明暗を組み合わせる。
物語は流れを持つ。
- 複数の場所、人物が並列して進行する
- 物語はある場所や時間で集約しようとする
- 集約した所で方向を転換し再び拡散する
緊張と弛緩、収縮と拡散、のリズムが物語である。
変化の描画に、三回目の法則がある。
- 三回目の法則
変化をする前に同じ描写を2回繰り返し、3回目で変化を描く。これが序破急である。物語は序破急のフラクタルである。
もちろん、基本を完全に身に付ける事など不可能である(マイケル・レドモンド九段)。それでも切磋琢磨を怠らざれば 6 割には 6 割の力がある。
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