38 分の生涯を過ごす中性子星上の生物と人類の邂逅。
直径 20km、600 億G の重力、成層圏 5cm の世界に済む、体高 0.5mm、体長 2.5mm、体重 80kg の12の赤い目を持つ生物、チーラ。彼ら/彼女らの姿をどのようにイメージしてみるか。ゴキブリか。カフカの虫か。僕は王蟲のちっちゃい奴だった。
チーラと呼ばれる種の物語。人間よりもチーラの方がとても面白い。だがそれはチーラ達の歴史が人類の歴史ととんでもなく似ているからだ。歴史の中を彼らは淡々と生きてゆく。そのたんたんさに引き込まれる。
彼らが砂漠を裸で彷徨っていた、まだ3つ以上の数をたくさんと呼ぶ時代から、この未知の生物を主人公とする歴史物語は始まる。そして、人類にとっての 30 分が彼らの一生涯である事が邂逅した時から意味を持ち始める。
これは決して架空の空想の物語ではない。しかし人類にとってまだ到来せぬこの未来の物語は、まだ起きていない物語である。だからといってチーラの存在を疑いはしない。彼ら/彼女らは必ず存在する。
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