この人が描く漫画の特徴のひとつは、背景に描かれたエキストラたちの存在感にある。作者がどれほど丹念に登場人物を描いているか、色々なコマの端々からそれを想像する、時間が楽しい。
例えばちはやふるの何気ない描写、歩道の向こう側を歩いているだけの親子。その人物にさえ何らかの物語がある。そう確信させるだけの力がある。背景に散りばめられた物語。
それは登場する人物、端役も含めて、作者がちゃんと息をしているように描いているからだと思う。端役の人物からもその人たちの人生が将来が見える。
クーベルチュールはその端役に焦点を当ててみせた漫画だ。この作家が普段はひとコマだけのために描いた人物に焦点をあてる。特別に考えられたわけではない。カメラを他にパーンしてみた。誰だって端役としてどこかの風景に映り込んでいる。この物語の端役はちはやふる、ちはやふるの端役はクーベルチュール。
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