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2012年5月15日火曜日

人類宇宙進出計画 第一章

なんとも銀河英雄伝説は遠くにある。

銀河系、直径10万光年、高さ1.5万光年。
銀河の中心から400光年のガス柱が観測されている。
いて座A*がありそこから宇宙ジェットが噴出している。

さて、人類は未だ太陽系の外どころか月の外にさえその活動を伸ばす事が出来ない。
幾つかの探査機がようやく太陽系を越えようとしている。

太陽からの太陽風が届く限界線をヘリオポーズ(Heliopause)と呼ぶ。太陽系の銀河公転進行方向にはヘリオポーズと銀河がぶつかり合う。その境界にはバウショック(Bow Shock)と呼ばれる弧状衝撃波面が形成される。その内側をヘリオシース(Heliosheath)と呼び、その中に卵のように守られた末端衝撃波面(termination shock)が存在する。ヘリオシースにはエッジワース・カイパーベルト天体があり、ヘリオポーズの外側にはオールトの雲がたなびいている。

人類がそれを肉眼で見る事は未だ先の事である。

では人類の当面の目標はどこに置くべきであろうか。

月面にはちょっと遊びに行ってきた。
どうみてもそれは子供のお使いよりも小さな旅であり小さな一歩である。
始めて家の中からお庭に出て庭石にタッチしてきた程度のものだ。

次に目指すは火星であろうか。火星への有人飛行となれば、巨大な惑星間航行船と生命維持装置、航海途中における補給システムの確立など話題に富む構想がてんこ盛りである。

しかしそれは到達すべき最初の点ではない。

以下に人類の第一次宇宙進出計画の到達点を勝手にでっちあげる。

目標、第一次進出計画の最終目標は、地球以外の天体に地球生命体を送り込む事とする。
もちろん、最初に地球から飛び出す生命体はヒトではない。もっと小さな微生物を地球以外の天体に送り込むのである。そこには水と熱水噴出孔があればよい。

恐らくこれが地球型生命が活動可能な最低限の条件である。
そして太陽系には地球以外にもこのような条件を持つ天体が一つある。

木星の衛星エウロパ。
そこには水と熱水噴出孔がある公算が高い。
ここなら地球型生命体が生存可能である。
であれば、地球の深海からエウロパの海底に生命体を送り込むのは絵空事ではない。

これが計画だ。

この計画の実現には様々な準備が必要である。
大きく分けて3つのフェーズを順々とクリアしてゆく必要がある。

一つにはエウロパ固有の生命体の確認である。
もし生存が確認されれば地球型生命を送るのは中断する。
その場合は、彼らを採取しエウロパ生命システムの独自性や地球型との類似性を研究する方向にプロジェクトをシフトする。その研究は地球での繁殖を防ぐためにも宇宙空間で行う事が望ましい。

計画の三段階は次の通りである。
・エウロパ固有生命の探査
・地球生物の輸送
・エウロパ生息の監視

エウロパでの生命探査においては、最終的にエウロパからのサンプルリターンを行う。
そのためには更に次の3つのステップを実施する。
1.海底地図の作成、地質調査の実施
2.次に潜水艇による調査探索の実施
3.海底土のサンプルリターンの実施

次が地球生命輸送を行うための3つのステップである。
1.生命体の選出
2.輸送方法の検討
3.生命の送出

この計画が地球型生命体の宇宙進出の最初なのである。
それは0が1となる最初の到達点である。

人類が宇宙に飛び出るためには宇宙船の開発が欠かせない。
ましてや人類が宇宙を旅するには今の宇宙船では非力に過ぎる。

未だ人類は息を止めて海を潜る程度の事しか出来ていない。
だから先ずは宇宙船の開発であろう。
そのための最初のステップとして生命体のエウロパ進出は魅力的な課題であると思う。

しかしそれ以上にこのプロジェクトが持つ意味を考えて欲しい。
地球の生命を宇宙に連れ出す事。

それが、この地上で人類だけに可能な事である意味を。

この地上では様々な生命が発生し進化し適応してきた。しかし遂に宇宙に飛び出す事は叶わなかった。
如何なる進化の上に新しい体の仕組みを手に入れてもそれ能わず。

だがクマムシなど宇宙空間でも生命維持できる生命がいる事に思いを致そう。
強力な放射線に晒されても生き残る微生物がいる事に思いを致そう。
ツルがエベレストの山脈を飛び越えようとする事に重いを致そう。

この地球にいるあらゆる生命が宇宙に飛び立つための準備をして来ているのだと。

我々は宇宙で生きるだけの体は手に入れていないかも知れない、しかし、彼らを宇宙に飛び立たせるための知恵は身に付けた。これがヒトに出来る事だ。

我々は彼らを宇宙に連れてゆく。

これが最初のミッションだ。
彼らを送り届けたらその後に人類も宇宙へと飛び立つがいい。
だが順番を間違えてはいけない。

まずは木星へ、そして火星へ、あらゆる惑星へ、遠く異なる恒星系惑星へ。

我々は地上に住む生命の頂点に君臨するのではない。
我々は、彼らを宇宙に旅立たすために生まれてきたのだ。

進化の系統樹が新しい環境への進出の歴史であるならば、地球の生命体が宇宙空間へ他の天体へと進出するのは進化の必然だ。これは全ての生命体がそうせよ、と言っているの等しい。

宇宙に進出するための能力は人類が持つ力である。
しかしそれが宇宙に進出する主体が人類であるべき理由とはならないのである。

この星の資源と天体としての健全性が枯渇するのと生命体の進化と、その実現は、どちらが早く来たるであろうか。

僕はこれを珪藻のおしゃべりと呼んでいる。

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