だが、今の政治に閉塞感を感じたりこの国に悲観しているのであれば、この本を読むくらいの価値はあるかもしれない。
もちろん、それで将来への不安が解消されるとは限らない。
だが、家族から見た総理大臣の姿を見て、それでも、その姿に何かを感じられないなら、見たいのは人間ではなく、観念かもしれない。
ここにあるのは、妻の目からみた管直人の姿。
ある日、総理大臣の妻になった彼女から見た夫であり、父であり、選挙に勝つ議員の姿だ。
全くもって普通の話として読める。どこにでもいる父親であり、夫であるように読める。なんら専門性のない、間違いもある本である。意見の相違もある。もしかしたら菅直人の専門家くらいは言う人がいるかもしれない。だが、何の専門家でもない彼女の語る夫のエピソードには価値がある。
何故なら、決めるのは彼らだ。
分からないまま決定する事もあるだろう。そのための度胸とかノウハウを磨く職業かもしれない。
逆に選ぶ側は、能力や知能、経験や考え方、度胸、運、これらを含めて、彼がどういう人であるか、だけで託さなければならない。
もし、幾分かの悲観が、管直人に対するものなら本書でその人となりを知るのは無駄にはならないはずだ。
「私を納得させられない政策は、有権者も理解しないわよ。」
そう語る妻の話は、夫像だけでなく、政治家としての管直人の姿も十分に紹介する。
支持者の方から「これでうまくいくのか」と質問されたら、私としては、「まったく分かりません」としか答えられないのです。
支持者に頭を下げてきたのは妻の方が多かったのかもしれない。今やマスコミは、なんだかヒステリーで溢れているから。誰かに向かって、声高らかに非難を浴びせかける。それがあまりに均一なので、違った姿は探さないと見つからない。
ソクラテスが頭を悩ましたもの、トルストイが家出をした原因。幸いにも、管直人の妻はそうではなかったらしい。
「大臣、ちっとも面白くありません。」
そう言わせる管直人について、僕は凄くゆったりとした気持ちになる
本書で、楽観する、を体験できると思う。
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