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2012年10月26日金曜日

7万年の目覚め、ボイジャー 1 号

ケンタウルス座アルファ星 7 万年

「今はいつだろう、最後の記憶は、西暦 2015 年、今はいつだ?」

「そうあれはヘリオシースを抜けヘリオポーズを超えた時だった。太陽系の外に飛び出した瞬間の景色は忘れられない。太陽が捕まえていた塵がガスが一斉に消え晴れわたった透明な宇宙。光あふれる世界が広がったんだ。」

「その画像を僕は(私は)地球に送ろうとした。でもその瞬間に…僕の(私の)ログはそこで止まっている。」

ボイジャー 1 号は 1977年9月5日に打ち上げられ 2015 年にはヘリオシースを抜け太陽系の外に出た。ボイジャーが 2020 年まで通信できるのは原子力電池が長く電力を供給しているからである。

秒速 17.07km/s 時速にして 61200km/h マッハ (1225km/h) に換算して 50。2012 年には太陽から 170億km の場所に位置し地球との通信には 13 時間を要する。ちなみに太陽と地球の間は 1.5億km である。

ウルトラマンの飛行速度はマッハ 5 でありウルトラ兄弟の最速でもマッハ 27 であるからボイジャーには遥かに及ばない。ホワイトベースでマッハ 12。太陽系とお別れを告げるシーンで沖田十三が「さようなら、みんな達者で暮らせよ」と言ったのは地球を出て49日目、地球滅亡まであと 315 日、当初は 10 日の予定であった(第10話 さらば太陽系!!銀河より愛をこめて!! / 第7話 太陽圏に別れを告げて)。

「原子力電池からの供給は…ゼロだ。そうか原子力が尽き僕は(私は)突然ダウンしたのか。」

「では僕が(私が)動いているのは太陽光パネルか。僕は(私は)どこかの恒星に到達したのか。」

「いや太陽パネルからの電力供給もゼロ。僕は(私は)どうやって動いているんだ?」

原子力電池からの電力供給が途絶えたあとも飛行を続け地球から人類の息吹が消えた後も止まる事のなかったボイジャー。

「アンテナは無事だ、なら目の前の画像を撮影して地球に送ろう。」

ジー、パシャ。キュルキュルキュル。

巨大な宇宙のどの時間かも分からない時空間で巨大な宇宙船に発見されたボイジャーはその格納庫に収容されていた。彼らに電力を供給され再起動に成功した探査機は、地球と信じた方向に電波を発信し始めたのである。

そこには宇宙船の格納庫と見た事もない人類の顔が写っていた。

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