花の色は移りにけりないたづらに我が身よにふる長雨せしまに
桜の花びらも散ってしまったわね、降り続く長雨をぼんやりと見ているうちに。気付けば私も若くはないわ、楽しい時間はあっという間に過ぎちゃったけど。はぁ思い出すだけでも落ち込みそうよ。
(でもね散った桜をただ見て悲しむだけの女なんて思わないでね)
こういう歌を詠む人がざめざめただ泣くような訳がないのだ。ため息をついた次の瞬間にはにこっと笑ってこっちを向いているに決まっている。決してめげる事なく明るく前向きな女に違いない。そういう解釈をしてみました。
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを
あなたに会いたいと思いながら寝ています。あなたに夢で会えたらずっとその時間が続けばいいのに。でもあなたに会うと嬉しすぎて目が覚めてしまうの。苦しいわ。
(この恋がどうか冷めてしまいませんように)
うたたねに恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき
うたた寝であなたに会えてからは、夢の中ではあなたに会うとそう決めたの。
(でもそんな都合のいい夢は見れないけどね)
いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかへしてぞ着る
衣を反して寝たり枕の下に名前を書いて寝ればあなたに会えると言われているの。でもそれで真っ暗の夜の中であなたと会えるとは限らないの。
(ええ自分でもばかばかしいと思っているわよ)
うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人目をもると見るがわびしさ
現実なら分かるけど、夢の中でさえ恥ずかしくてあなたは話しかけてくれないの。もう情けないったらありゃしない。
(でもわたしも同じくらい臆病かも)
こひわびぬしばしも寝ばや夢のうちに見ゆれば逢ひぬ見ねば忘れぬ
恋し過ぎて寝ることさえも辛いわ。でも寝ればあなたに会えるかも知れない。そう思って寝るの。例え会えなくてもその間だけは辛さを忘れられるから。
(でも目が覚めると会いたいの)
色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける
目には見えないしどう変わってゆくかも分からないもの。あなたを慕う気持ちは色褪せた花のように散って消えてしまったわ。
(もうきれいさっぱり)
海人のすむ里のしるべにあらなくにうらみむとのみ人の言ふらむ
私は海なんかじゃないですよー。恨みますなんて知らないわよ。そんなに浦を見たい(浦見む)なら海でも見にいってらっしゃいよ。
(可笑しな話ね、ケラケラケラ)
色も香も懐かしきかな蛙なくゐでのわたりの山吹の花
なにもかも懐かしい井手の里。そう山吹が咲いていた。私の懐かしい思い出。
(そして私は今ここにいる)
吹きむすぶ風は昔の秋ながらありしにもあらぬ袖の露かな
景色は何も変わっていない。風も昔と同じ秋の風なのに。でもあなたがいないから私には同じゃないのよ。
(秋ってほんとセンチになっちゃうわ)
ちはやぶる神も見まさば立ちさわぎ天の戸川の樋口あけたまへ
神様もこの日照りの苦しみを見られれば、たちまち雨を降らせてくださるでしょう。この心が神様に通じますように。
(誰が頼んでいると思ってるのよ!)
はかなしや我が身の果てよ浅みどり野辺にたなびく霞と思へば
人生って儚いって言うわよね。本当にその通りで若い時って長くないわ。夕暮れの霞のような時を私は生きています。
(とでも歌っとけば人当たりはいいわよね)
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