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2012年9月24日月曜日

なぜロボットは巨大化するのか

アニメという架空世界の中で、巨大ロボットの世界が創り出されてきた。これは何を意味するか。巨大ロボットが存在するのは何故か。

この問いは巨大ロボットが何を具現化しようとしているのか、という問いに変換できる。それはどういう世界観からくる欲求であろうか。

人間は世界と時間の中で生きている。動物にとって世界はサイズによって決まる。生まれ持ったサイズで生きてゆくしかない。体のサイズがエネルギー量を規定する。

人間の生物的なエネルギー量は太古から余り変化はしていないだろう。しかし我々は道具を作り使うことで消費するエネルギー量を増大させてきた。エネルギー量で言えば我々の体のサイズは像と同じかそれ以上でなくてはならぬ。

サイズが大きくなると時間は遅くなる。生体時間(心臓の鼓動回数)は体のサイズの大きさに比例して遅くなる。エネルギー量の増加から言えば人間の時間はゆっくりになっていいはずなのだ。

しかし、サイズが変わらずにエネルギー量だけが増えたために、エネルギー量を基準として見れば、体は小さくなっている。体が小さいほど生体時間は早くなるのだから、我々の時間の経ち方というのは早くなる方向に進んでいるはずである。

我々は消費するエネルギー量が増えたことで体は以前よりも小さくなったと言えるのである。このことは車が生まれレースで競われ船が航空機があらゆる機械がスピード競争へと突き進んだ事とも一致するのである。

エネルギーの増加はスピードの発達の歴史でもあった。エネルギーが増えれば増えるほど、我々にとっての時間は早くなるから、それに見合った速度を求めるのは自然なことである。我々の体がその速度を生み出せないのであれば機械にそれをさせるのは自然の成り行きであったと思う。我々のエネルギー量では歩く速度は遅すぎるのである。

であれば、巨大ロボットが小さくなった自分の体と無関係とは思えない。小さくなった自分の体の代替であることは間違いない。そのサイズは自分が使うエネルギー量に見合ったものであるはずだ。巨大ロボットは増加したエネルギーに見合った速度と世界の両方を手に入れるための我々自身の写像なのだ。

今までにないエネルギーを手に入れて時間の経ち方が早くなったので、それに併せて移動手段は高速化され、我々の住む世界はずうっと小さくなった。巨大ロボットはこの小さくなった世界をもういちどもとの大きさに拡大するために存在する。時間が早くなったので世界を拡大することで比率を同じにしようとしているのだ。

巨大ロボットのサイズはみなそれが活躍する世界の広さに応じて求められる。少なくともこれだけの大きさがなければこの世界で生きていくには十分でない、という直感から決められている。世界の拡張とはロボットに与えられた使命である。巨大化したロボットで辿り着ける世界の大きさは、我々の欲望と一致しなければならない。

ボディの巨大化はエネルギーを得た生物が行くべきステージであり、何度も繰り返されたことだが巨大化する方向で生物の体が進化するのと同じなのだ。我々の進化では間に合わないので巨大ロボットが出現したと考えられるのである。

エネルギー量の増加は、一時的に時間を早くし生活圏を広げ(世界は相対的に小さくなる)、次に体を巨大化し時間は遅くなる(世界の大きさは元に戻る)。進化であればこうして新しいステージでの平衡を得るのであるが、巨大ロボットは時間を遅らせることはしない。だから世界を拡大することで辻褄を合わせる。我々のこの流れを支えるエネルギーはどこから供給されるのか、それに無邪気でいては、我々はいつか供給を絶たれ化石になった動物たちと同じように世界を失うかも知れないのである。

巨大ロボットも宇宙(そら)を行く船も、時間と世界の拡大の代替である。それはエネルギーに対する自然な反応であるから、我々の行く先もそういう世界であることは間違いない。

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