山の中に一人の赤鬼が住んでおったそ。赤鬼は人間と仲良くなりとうて山の幸を土産に人間の村を訪れておったそ。
赤鬼は村人に問うてみたたそ。
「わしはあんたらと仲良くなりたいんじゃ。友だちになってくれんかね。」
すると村人は答えたそ。
「友だちになってもええが、あんたの頭には角があるじゃろう。それが刺さると思うだけで怖うてのぉ。」
それを聞いて赤鬼はそれはもっとな事だと思って、角を切り落としたそ。
「これで角はなくなった。これで友達になってくれるかね。」
角のなくなった赤鬼は聞いたそ。
すると村人は答えたそ。
「友だちになってもええが、あんたの口にはするどい牙があるじゃろう。それで噛まれたと思うだけでえろう怖うてのぉ。」
それを聞いて赤鬼はもっとな事だと思って、口の中の牙を折った。
「これでわしは何もかめん。これで友達になってくれるかね。」
牙のなくなった赤鬼は聞いたそ。
すると村人は答えたそ。
「友だちになってもええが、あんたの腕は太い。それで捕まれたと思うだけでえろう怖うてのぉ。」
それを聞いて赤鬼はそれはもっとな事だと思って、腕を鎖で縛った。
「これでわしの腕は自由にならん。これで友達になってくれるかね。」
腕を鎖で縛った赤鬼は聞いたそ。
すると村人は答えたそ。
「友だちになってもええが、あんたの体はでかい。それの下敷きになったと思うだけでえろう怖うてのぉ。」
それを聞いて赤鬼はもっとな事だと思って、自分の体を近くの木にしばりつけた。
「これでわしは木から離れられん。これで友達になってくれるかね。」
木にしばりつけた赤鬼は聞いたそ。
すると村人は答えたそ。
「これなら安心じゃ。わしらは友だちじゃ。」
それを聞いて赤鬼は喜んだ。
しばらくしてから青鬼が赤鬼を訪ねてきたそ。
赤鬼の家には誰もおらんかったそ。
不思議に思って人間の村の方に行ってみたそ。
そこで青鬼は木に鎖で縛られて干からびて死んでいる友だちを見つけたそ。
人間は彼の事を何も気にも止めておらんかったとそ。
青鬼は怒りにまかせて村人を襲ったそ。
村人をみんな殺して崖の下に放り投げたんじゃと。
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