博物館で人間の骨格を展示するなら、立った姿勢を維持したければ補助用の鉄棒が必要である。これは意識を失った人間が自然と倒れるのと同じ理屈である。人間が立っている為には常にバランスを維持し続ける必要がある。姿勢における動的平衡は常に生命的な働き掛けによって維持されている。
よって、骨格だけを接続して立たせる事は難しい。姿勢は接着剤で維持できても(筋肉の変わり)、足と地面の間だけはどうしても固く接続しておく必要がある。弁慶だって籠を背負って長刀を持っていたから可能だったはずである。
四足歩行の動物ならば、これが骨だけを組み立てても立った姿勢を維持できる。単に地面に置いておいてこれが倒れる心配はない。これは車が倒れないのと全く同じ原理である。バイクはこける。だからスタンドが必要である。
鳥も二足歩行の動物である。人間が垂直方向で重心を支えるのに対して、鳥は前後方向で質量を分配している。それでも鳥の姿勢は恐竜とはかなり異なる。また重さの違いもある。小さいほど重力の制約は小さくなり自由度が高まる。
鳥の体の大きさはその時代の環境に依存しているはずである。よって各時代の空を飛ぶ動物の最大サイズを見れば、それが可能となった条件が推測できる。鳥の大きさを制限する条件を考える上でこれは重要なパラメータとなり、その影響は地上性の動物にも掛かっているはずである。
恐竜時代の空を飛ぶ動物の大きさを現在と比較すると、待機中の浮力は現在よりも相当に大きかったのではないか。つまり空気が重たかったのではないかという考えも成立する。
鳥は空を飛ぶために体を軽くする。バランス上は前後方向に少し頭が外れても頭は軽いから成立できる。それでも頭が重そうなハシビロコウはほぼ垂直に立っているように見える。
巨大な鳥である駝鳥やエミュー、モアが全て同じ体系であるのも偶然ではないはずである。体の重さを足で支える。その足を長くしなければ移動の面で淘汰されていたのだろう。足の長さは重心が上にあるという意味だから、首を長くしないと地面にあるものを食せない。そうして首を長くしてこれでバランスを取る事もできる。尾は消失させた。
駝鳥はまだ足が体のほぼ中心にある。所がモアなどは足は体全体の後ろの方にある。少し恐竜のアンバランスさに近いように見える。駝鳥と同じ背骨の水平さだと前に倒れそうである。
二足歩行のメリットは前脚の用途だろう。鳥は翼に人はマニピュレータとして使う方向に進化した。
恐竜も二足歩行の動物である。所が恐竜は前脚の用途を無くした。駝鳥と同じように退化させる方向に進化した。二足歩行の恐竜はそのいずれも重たい頭蓋骨を持つ。肉食なので強力な顎を持ち、骨も厚くしなければならないはずだ。鳥が軽くする過程で失った歯も捨てていない。
キリンのように足の長い動物は重心が高い位置にくる。鹿などもそうであるように、長い首を持つ。そして首の長い動物は頭を小さくする。現生動物では長い首をもつものはくにゃくにゃと自在には曲げられない。重力に打ち勝つ為にほぼ垂直の姿勢を取る。
首がくにゃくにゃにしない機構を持っている筈である。筋肉で厚く覆い頸椎に自由度を制限するロック機構があると思われる。これはブラキオサウルスに適用さえる物理学のはずである。長い首を水平に維持するのはどの時代でも難しかったのではないかと推測できる。
象のように大きな頭蓋骨を持つ動物に長い首は厳しい。短くしても骨の機構だけで重力に抗うのは難しく思われる。よって筋肉も相当に参加してこれを支えていると考えられる。最も頭蓋骨が大きな動物はくじらであるが、あれは水中で浮力を得ているから可能である。
大気中で同様の浮力を得る事は例え1億年前とはいえ考えにくいが、それでは空を飛ぶ動物があれだけのサイズを維持できた説明ができない。すると違っていたと考えるのが妥当である。なお、おばいけは鯨の尾びれの肉である。
現生の動物の中に、頭が大きく重く、首が長く、二足歩行という構造は例がない。もちろん、移動中に一時的にそのような姿勢を取る動物はいる。ヒトやサルも二足で前かがみに移動する事は可能である。
鳥も体全体のバランスは前気味である。ただし鳥の脚は前から後ろ方向に斜めに刺さるようにしてバランスを取っている。それでも鳥の前後構造は恐竜程の水平さではない。
博物館の恐竜たちは展示する時に頭の支えが欠かせない。現在の恐竜の復元図ではふつうに立てば頭の方に向かって倒れるのは必至である。それを防ぐには頭を高くしバランスを取る必要がある。しかしそれでは尾が長すぎる気もする。それでは旧来の怪獣型の姿勢になるが、この姿勢では足跡に尾を引きずった後がない不思議が説明できそうにない。
水平に頭と尾を維持するのを彼/彼女たちは骨格と筋肉だけで支えていた。化石を見る限り、頭蓋骨だけで数十キロはある。この重さは幾ら大気濃度、湿度、組成が現在とは大きく異なっていても、今の所納得できる説明ができない。こんな重い物体を水平状態で支えるのを通常の姿勢とするには何らかのそれが無理でない効率的な姿勢であるという説明が要る。
重たい頭が端にあり姿勢を維持するには反対側にも同じ重さを用意すればどうだろう。つまり必要な要件はやじろべえである。博物館の恐竜もバランスを考えて頭の反対側に尾を直線状に配置する。脚を支点にすれば重心はその下になるには頭と尾を腰よりも下にすればいい。それを筋肉と腱だけで支えるのは大変そうではある。
すると背骨が下にだらんと下がらないようなロックする機構があると便利そうだ。しかし、それでは頭を下げれなくなる。ただの一本の棒状の背骨では何かと不便そうである。だいいち活動が制限されすぎて進化の淘汰から逃れられそうにない。
頭を地面に付けられないのでは水を飲むのにも苦労しそうである。湿度が高くて水を飲む必要はなかったとしても、獲物は通常は地面に倒れている。あの小さな手では持ち上げて食べるのは難しい。頭を下げられなくては困るであろう。しかしやじろべえである。尾を上に持ちあがれば自然と頭は下がるはずである。
それ以外にも頭の位置は常に足の曲げ伸ばしで調節する事も考えられる。フォークリフトと同様に上下運動だけで頭の位置を上げ下げはできそうである。だが、これは少し不便そうな気がする。急に襲われた時に反撃しにくい気もする。しかしキリンもシカも水を飲むときはぼぼ同じリスクを受け入れているので不能ではない。
尾の先に何か重たいものがあったとする。その痕跡が化石に残っていないのは脂肪や筋肉など柔らかい組織だったからだろう。頭の大きさと吊り合うだけの重たさのものを尻尾に付けておく。尾の先に大きなこぶを持っている姿ならバランスは取れているように見える。
小型の恐竜は重力と筋力のバランスの均衡点でやじろべえ型である必要はなさそうである。またそういう恐竜の頭は割と小さくも見える。すると大型の成長するにしたがって尾に重りとなるコブが生まれるというのはそれなりに魅力的な生態だ。
恐竜も重さに比例して動きも鈍重になるだろうから、狩りは下手になるはずである。するとやじろべえ型の恐竜に俊敏な動きは求められない。スカベンジャーが自然と見えるのも止む無しである。
ライオンやワニなど肉食の動物は顎の力が重要なので自然と頭蓋骨も頑丈で大きくなる。それと比べると小型の恐竜の頭のスマートさは捕食相手がずっと小型であったのではないかという気もする。虫は沢山いたからそれを食していた可能性もある。虫なら頑丈な顎は必要ない。
石炭石油を生み出した時代はかなり温暖な時代だったらしい。ジュラ紀や白亜紀も同様の温暖さであった。今よりも15度は高く二酸化炭素濃度も高い。それがどのようなバイオームを生み出していたかは知らないが、生態系は豊かであったろうと空想する。
当時の温暖化と現在の温暖化の違いを科学はきれいには説明してくれない。その違いを把握しておかないと、単純に温暖化は危険ではないという結論に飛びつきそうである。
しかし、現在よりかなりの温暖化であっても生物の生存が可能であった時代があり、その時代のエネルギー収支は数億年に渡って安定していた。なぜ現在よりも高いCO2濃度であったのに当時の地球は金星化しなかったのか。
ある種の鳥は生まれてから砂や石を飲む事で、消化に役立てる。後天的に何らかの形で尾の重りを得る事も可能だろう。すると、子供の頃は通常の姿勢であるが、例えば、成熟した時には、雌の背中に雄を乗せて行動する習性が可能かも知れない。繁殖相手をおんぶする事で頭の重さの不均衡を解消する、別にチョウチンアンコウよりは不思議な生態ではあるまい。
しかし大多数の肉食種で頭が重そうな化石ばかりが出ている状況から、全ての二足歩行の恐竜が種を超えてその様な習性を持っていたというのは少し説得力が乏しいかも知れない。
恐竜の尾が長いのは途中や先端に重しとなる部分を作るのではなく、尾全体の重さでバランスを取る為とすると、脚の後ろがいきなり尾であると考えるのではなく、頭と同じ位の位置までは太かったのではないかという考えも成立する。尾の途中までは太い状態なので、それで前後のバランスが取りやすくなる。
すると骨盤を超えて尾の半分くらいまでは消化器官などがあって、排泄器は尾の中ぐらいの位置にあったと考えても理屈は立ちそうである。幸い恐竜の骨盤はそこで消化器を止めるような構造にはなっていなさそうである。
外観の尾はもっと短かく胴体は後にもっとずんぐりと長かったという姿を空想する。当時の恐竜たちは決して吠えたりはしない。
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