五円玉の意匠は産業である。
- 農業(稲穂)
- 工業(歯車)
- 水産業(海)
数を数え
もっと正確に記憶したければ「数を数える」。- 稲穂の数:3
- 実の数:27
- 歯車の数:16
- 波の数:12
さて、ここで思いだすのはシャーロックホームズの階段話しである。
「君は、玄関からこの部屋まで上がってくる階段はずいぶんと見ているだろう?」
「ずいぶん見ている」
「どのくらい?」
「何百回となくさ!」
「じゃ聞くが、階段は何段あるかね?」
「何段?さぁ知らないね」
「僕は17段と、ちゃあんと知っている」
階段なら数えられもするが莫大な数になれば数えるのも大変である。
例えば手でお米をつかんだら何粒あるだろうか。
概算
- 全体の重さを測る。次に10粒の重さを測る。
- お米を手の中からゆっくりと落して行き全てが落ちるまでの時間を計る。次に1秒に落ちるお米の数を数える。
- お米を平らな所に四角に広げる。広げた縦と横の長さを測る。次に1cm四方のお米の粒を数える。
- お米を平らな所に四角に広げる。下から懐中電灯を照らし明るさを計る。明るさとお米の数の関係から計算する。
概算は個数を求めるのに別の何かを測定して変換する。比を使い一部から全体を求める。
全体の個数 = 一部の個数 × 比
- 一部の個数を数え間違えれば全体の個数も間違う
- 何倍するかの比を間違えれば全体の個数も間違う
これが成立するには全体が平たくなっていなければならない。まばらであれば一部を求めても何倍すべきかが狂う。平らにするとは平均を求める事だ。平均されているから一部から全体を求める事ができる。
こうして 統計学 として色々な所で使われている。
- 選挙の出口調査
- 世論調査
- 視聴率
- 食品の放射性物質検査
さて概算は全てを数えた訳ではないので必ずしも完全に正しいとは言えない。この実際の数と概算の差を誤差と呼ぶ。誤差には必ず許容できる範囲があり、許容できるかどうかを精度を呼ぶ。
- 実際の値
- 平均
- 概算
- 誤差(実際と概算の差)
- 精度(許容される誤差の範囲)
式の変形
長方形の面積が (縦 * 横) で求められるのは、四角形の縦と横の同じ長さの長方形だからだ。もし4つの辺の長さが違っている台形ならば (縦 * 横) では面積は求められない。台形の面積
(上辺 + 下辺) × 高さ ÷ 2
上辺:
下辺:
面積の公式
図形 | 変換 | 面積の式 |
---|---|---|
台形 | (上辺 + 下辺) × 高さ ÷ 2 | |
平行四辺形 | 上辺と下辺が同じ (上辺 + 下辺) × 高さ ÷ 2= (底辺 + 底辺) × 高さ ÷ 2= 2底辺 × 高さ ÷ 2 | 底辺 × 高さ |
長方形 | 上辺と下辺が同じ (上辺 + 下辺) × 高さ ÷ 2= (横 + 横) × 縦 ÷ 2= 2横 × 縦 ÷ 2 | 横 × 縦 |
正方形 | 上辺と下辺と高さが同じ (上辺 + 下辺) × 高さ ÷ 2= (1辺 + 1辺) × 1辺 ÷ 2= 2辺 × 1辺 ÷ 2 | 2辺 |
三角形 | 上辺が 0 の時 (上辺 + 下辺) × 高さ ÷ 2= (0 + 下辺) × 高さ ÷ 2 | 底辺 × 高さ ÷ 2 |
台形の面積のある場所が同じであったり 0 であったりする事で他の公式に変形する事が分かる。辺の長さが全て同じなら正方形だし、上辺を 0 にすれば三角形の面積である。これはお父さんが教える事であって学校が教える事ではない。台形の公式だけ覚えておけば事足りる。
面積を求めるにも色々な辺の長さが出てくる。小数点が出てくると話が面倒になる。小数点と言えば π である。π が 3 から 3.14 になると計算が非常に面倒になる。それに比例して間違いも増える。
ゆとり
3.14 が 3 になった時にこれを批判した人は多いが、その理由を説明できた人はわずかだった。ゆとり教育にはそれなりの目論見があった。ゆとり教育は教育の中心を学校から家庭にシフトする目論見であった。それが圧倒的多数の反対にあったのは、学力ではなく学歴に価値観を置いたからであろう。ゆとり世代にはかつてない程の天才が多い。ゆとり教育とはほんの一握りの天才を育成するシステムであったのではないか。天才達に余計な手だしをさせない指針がゆとりであった。天才は何もしない方が育つ。その代りに早熟の天才でない多くの人々へのトレーニングはおざなりにされた。トレーニングが必要な人に届かない事が増えたのである。
面倒臭い小数点の計算
日常生活での誤差を 3 と 3.14 で考えて見よう。なお当然の話しであるが π を 3.14 にするのは、小学生に面倒臭い小数点の計算問題を数多く解かせるためである。小数点の計算は面倒臭い。π のお蔭である。
小数点の計算の違いはふたつ。小数点の数を数える事と後から点を付ける事だ。その途中は全て整数の計算として行う。小数点以下を取っ払って整数で計算する。
計算 | 式 | 小数点の位置 | 答 | 確かめ残 |
---|---|---|---|---|
足算 | 1.52 + 1.5 = 152 + 150 = 302 | 小数点の位置(2)は変わらない | 3.02 | 1 + 1 = 2 |
引算 | 32.145 - 18.9 = 32145 - 18900 = 13245 | 小数点の位置(3)は変わらない | 13.245 | 32 + 18 = 14 |
掛算 | 2.61 * 1.51 = 261 * 151 = 39411 | 両方の数(2+2)の和 | 3.9411 | 2 * 1 = 2 |
割算 | 31.85 / 1.3 = 3185 / 130 = 24.5 | 同じ比なので考慮しなくてよい | 24.5 | 31 / 1 = 31 |
数学者からして小数点など大嫌いである。だから階乗が生まれたのであって小学生が嫌いなのは当然である。敢えてそれをさせるのは脳を鍛えるためである。スポーツ選手のランニングと同じだ。電卓があるから計算しなくてもいいと言うのは、車に乗ってグランドをぐるぐる回るのと同じだ。それではトレーニングにならない。走る事そのものには価値がないのと同じで π の値にも意味はない。
π
円周、面積、表面積、体積で 3 と 3.14 を使った時の答えの差を求める。誤差はどれくらいか。どこまでが例外として認められるか。一般的なコンピュータで採用されている π値、3.141592653589793 でも算出してみる。円の面積が正確に求められる事は遠く将来までないだろうが、現実世界は最小でも素粒子など有限の小ささになるので円周率も有効桁を設定すれば十分だろう。
πの歴史
直径:
π | 円周 | 差 | 面積 | 差 | 表面積 | 差 | 体積 | 差 | 比(%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2.9 | |||||||||
3 | |||||||||
3.1 | |||||||||
3.14 | |||||||||
Math.PI | |||||||||
3.15 | |||||||||
3.2 |
//円周。 function circumference(pi, diameter) { return 2 * pi * diameter / 2; } //面積。 function area(pi, diameter) { return pi * Math.pow(diameter / 2, 2); } //表面積。 function surface(pi, diameter) { return 4 * pi * Math.pow(diameter / 2, 2); } //体積。 function content(pi, diameter) { return (3/4) * pi * Math.pow(diameter / 2, 3); }
近似値
誤差を認めるとは近似値で良いという考えである。どうすれば許される誤差の範囲の中でより早く答えを見つけるか、またはその方法を発見するか。これが算数の終着点とも言える。近似値で良いという考えが大切だ。高いコストを払って正解を探し出す事は時に重要である。しかし高いコストは時に正解に辿り着けない事がある。その時にそれとは別に例え正解は手に入らなくても近似値ならば入手できるかも知れない。
それをずっとトレースする事で傾向が何か見えて来るかも知れない。だからカオス理論は傾向を盲信する事が危険である事を教える。全てが一次比例で変化している訳ではない。
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