これでは頭が重すぎる。当時の酸素濃度が濃く、体が巨大化するのに有利であったとしても、この構造ではバランスが取れない。先端に重量のある頭を置き、そのカウンターとして尾を延ばしている。これでやじろべえとしては成り立つ。すると恐竜は、やじろべえが揺れるように前後に揺れていたのだろうか。
これだけ重い頭と尾を重力に逆らって支えるには筋力では難しいだろう。すると強い靭帯と骨格で支えていたと考える必要がある。そうすれば、下へだらんと垂れることはなかったであろう。あの重さを支えるには靭帯だけでは難しく、背骨の構造が下に曲がろうとするのを支えていたはずだ。背骨には曲がるのを止める突起があり、そこは変形したり摩耗しているはずだ。
二足歩行を手に入れたのは、猿の他は鳥である。この鳥の祖先が恐竜であることは既に常識であるが、しかし、鳥と恐竜では体を支える構造が全く異なるように思える。しかし鳩のように歩く時に頭を前後するのは遠い恐竜でも同じであったろうか。
トリケラトプスの復元図を見ても不思議はない。
(wikipdeia トリケラトプスより)
昔のティラノサウルスもウルトラマンの怪獣のようで不思議はない。
しかし現在のティラノサウルスはどうも頂けない。
(wikipdeia ティラノサウルスより)
勿論、この復元図にも理由があるのであって、尻尾が上に立っているのは、恐らく、足跡化石に尾を引きずった後がないからであろう。尾を上に上げていたのなら、頭は下がるであろう。
軽い骨格なら重力はある程度は無視できる。しかし恐竜は大きいのである。頭も尻尾も大きい。大きいとは重いと言う事である。この重さを支えるのは筋肉である。恐らく当時の酸素濃度が今よりも濃くなければ筋肉はこれだけの巨体を支え切れないのだろう。彼らの重さは現在の哺乳類とは比較にならない。動物にとって重力に逆い続けるのは困難である。人間の腕でさえ 10 分も上げておくのは苦痛だ。
How often have I said to you that when you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth?
Sherlock Holmes
恐竜復元では、骨格を鉄柱で支えなければ立つ事さえ難しい。勿論、人間の骨格だって何かで支えなければ立たせる事は難しい。だが人間は意識を失えばどうせ立っていられない。その意味で骨格が立たないのに不思議はない。また足の置き方によっては人形を立たせておく事が出来る。しかし恐竜は人形でさえ、あの頭の大きさ、重さで前のめりになって倒れてしまう。
(wikipdeia エミューより)
人間は重心の上に真上に重たい頭を乗せそれを背骨で支えている。鳥も頭を上に置く事でバランスを取ろうとする。しかし恐竜は頭を横に伸ばしている。
この復元図は不思議なのだ。
まぁそれはいい。テレビの恐竜は捕食者が狩りをする時に怪獣の如く雄叫びを上げる。音を立てるならそれは存在を相手に知らしめる威嚇である。捕食者が狩りをする時は安全に確実に効率食よく可能な限り短時間で仕留めようとする。狩りの基本は相手に気付かれる事なくどこまで近付けるかにある。もし鳴きながら追いかけるのであれば、それは群れで相手を追い込むなどの理由がいる。でなければ科学への好奇心を持たないか恐竜への尊厳が足りないと思う。