四方の海 みなはらからと 思ふ世に など波風の たちさわぐらむ
明治天皇が歌われたその海が突然に浜に押し寄せ辺り一面を流し去った。
そこには何もない。
多くの町を車を家をそして人を流し去った。
原子炉の水さえも奪い去っていった。
雪の降る日であった。
そして、この歌がある。
ふりつもる深雪にたへていろかへぬ松ぞをゝしき人もかくあれ
まるで津波の後に残ったたった一本の松のようではないか。
これからまた冬が来る。
雪の中に松が立っている姿を多くの人が目にするだろう。
これから冬を迎えるにあたって雪の降る前にこの歌を思い出した。
この歌が歌われた日から半世紀も経ち、
それでもこの歌は昨日歌われたかのように感じられる。
降り積もる真っ白にぞ陽の光りさし松の青葉に雪解けの水
今年の冬も雪は降るだろう。
昭和天皇、昭和21年歌会始御製
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