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2024年7月1日月曜日

頭蓋骨の進化論

魚類の骨格は、背骨から頭蓋骨へと繋がり、その延長線上の両側に目がある。カエル、トカゲも同様であって、背骨と目を繋ぐ線は地面と並行しており、背骨と並行する様に口もある。よって下あごと背骨は同じ方向にあり地面と平行している。

鳥の場合は、首が地面から垂直であるが、頭蓋骨と繋がる直前で地面と並行するように大きく湾曲している。この点で言えば、そのまま伸ばせばトカゲと同様の構造になる。

象の背骨も地面には水平で、その先にある頭蓋骨は上下に伸びて目の位置は、背骨より下であるが、平行の概念からはそう離れていない。

前に長くできず下方向に伸ばして目、鼻、口を収容したのは、顔の重さに起因するだろう。

それでもあれほどの重さを首の端にちょんと乗せて水平方向で首が支えている。その強靭さはどうやって可能としているのか。人間が肩こりするなど象の前では恥ずかしくて言えないと思う。

鯨は水中に入る事で脳の巨大化を可能とした。頭蓋骨は流線形を形成し、目は顔の横に配置した。

犬や猫などは水平よりは斜めに首が付いており頭蓋骨と繋がっている。馬、キリンなど首の長い哺乳類は、ほぼ90度の角度で接続しているが、それらは頭蓋骨の端にあって、その繋がり方の曲線上に延長線を引くと、その先に目があり口があるという感じで、構造はトカゲなどほぼ同等と見做せそうである。

首が長いのは遠景を見る為であり、首が上に延びる以上は、頭を曲げないといけない。首が延長した方向のままだと空しか見えないからである。だからこれらの動物の頭蓋骨は曲げておく必要がある。トカゲで言えば、崖の下を見る時に首を下に曲げた姿勢をしている。

猿の仲間も、首に対して頭蓋骨は90度に近い接続をしている。これは首が上に伸びたからではなく、背骨が骨盤から先で垂直に近くなった事に起因する。

樹上生活に適用し、座る生活が多用された結果、背骨が鉛直方向の姿勢になった。背骨が地面に垂直なのは、樹木にへばりつく生活に変わったからだろう。地面ではなく樹木に対して背骨が水平であろうとした。樹上生活が普通になると、木が地面に垂直だから、猿の姿勢も垂直になった。

チンパンジーやゴリラなどは、歩く時も背骨が斜めの状態を維持する。その為に手を長くした。その点で四足歩行の猿とは違うと思われる。

人間の場合、二足歩行が進み背骨がまっすぐ立つのに合わせて頭蓋骨を背骨に上に乗せるように取り付けたと考えられる。そうしないと頭のバランスが悪くなる。頭の位置エネルギーを上手に使って動くが、制御できるバランスの悪さでないと二足歩行が上手く安定して機能しない。それでは狩りをするにも逃げるにも不利だろう。

人間が背骨を地面に並行にした場合、例えばハイハイ、素直な姿勢を取れば、顔は下を向く。顔を前に向けるには首を上げなければならない。この姿勢は極めて不自然である。

下を向いた姿勢が他の動物と同様のデフォルトだとすると、何故その姿勢では前が見える様になっていないのか。その姿勢のままでも前が見えるようになっているべきであろう。

その為には、頭頂部あたりに眼窩があり、今の顔がある辺りには下顎があって咀嚼部が形成されている筈である。草食動物なら両耳の辺りに目があって、耳はその後ろにあるべきである。

つまり、人間は自然の姿勢に対して、目が下がった位置にある。犬の骨格で言えば、顎の所に目がある。首の付け根に下に向けて口がある。

この不自然な目と口の位置は、どうして生まれたのか。脳が大きくなる過程で、目がそこに追いやられたからだと考える。

脳が巨大化する時に目を追いやる方向は様々の筈である。進化は特に位置を指定しない筈だから。

例えば犬の頭蓋骨をモデルに頭を大きくすると考えてみる。すると眼窩は今よりも前に出るだろう。目は前に出るけれど、鼻腔の空間は維持したいから、更に口も前に出るか、下に逃がすしかない。そで口が随分と違った所に移動する。

犬の強力な顎も消したくないなら、顎の筋肉は頭蓋骨周りに張り付くのだけれど、顔の形状は球形に近くなりそうな気がする。例えばブルドックのような。そこから鼻と顎を前に伸ばす感じ、であろうか。

人の場合も、そのような形成は可能だった筈である。脳が大きくなっても、目をそのまま前に追いやる事も可能だった筈だ。その結果として、今の人間の頭頂部に目がある形でも不思議はなかった。

しかし、二足歩行で頭頂部に目があるのは空しか見えないので少々困りそうである。空にしか天敵がいない星なら在り得える。

頭頂の目で頑張ってカメレオンのように前後左右を見れるようにしたとしても神経の通し方は難しそうだし、直ぐ傷ついて失明しそうだし、目の下にある脳をどう頑丈に守るのか、とても工夫が必要そうである。

そこで、成長する脳は、目を顔の下に追いやる事にした。長くはしない、位置を動かす。目に押されて鼻も口も下に移動させる。顔を長方体と見做せば、前にあった目を下の辺の方に移動する。

それまで口があった面に目や鼻を配置する。その分、口は下に追いやられる。それまで横にあったものが縦になったので、口は短くなる。



それでも脳を大きくしたいという進化圧が勝利したら、最終的には、人間は下しか見れない頭蓋骨を持つ。これは不便だ。



つまり、二足歩行になったから、背骨に対して垂直に頭蓋骨を乗せたのではなく、脳が発達したから、前を見る為には首を上げるしかなかった、その為には二足歩行にするしかなかったと考える事ができる。

原因と結果は逆転できると思える。


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