神無月と呼ばれる十月に諏訪大社を除く全て神が出雲に向かわれた。
そこで一月を楽しく過ごした。
十月も終わりに近付くと神々は自分の居場所へと帰り始める。
その仕度する様子を見て
さてそろそろわしも帰るかと腰を上げた神が居た。
その時に、自分の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
当たりを見回しても誰もいないが、あちこちから自分を呼ぶ声がする。
やや勘違いされては困ります、
今はまだ十月でございます、
まだまだ帰る時ではございません。
ここにあるお供えものを食べゆっくりとおくつろぎください。
それを聞いてああそうかとまた座り直した。
周りには沢山の食べ物と酒がある。それを食べ飲み寝た。
暫くしてそろそろ帰ろうかと腰を上げるとまた声がする。
もしもし、まだ十月でございます、
あなた様の帰る時ではございません。
ここにあるお供えものを食べてゆっくりお過ごしください。
ああそうか、
とまた座り食べ飲み寝た。
こうしてその神はずうっと自分の場所へは帰らなかった。
これを神居付きと言う。
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