よく晴れた秋の日の午後、から始まる、奈良の二月堂あたりをぶらぶらしていた時の随筆だろう。
若き日の思い出を語り、プルウストについて語る、プルウストについての連想は、ただ圧巻だと思う。プルウストについて書かれたかのように見えるが、このエッセイはそんな所にない。
君ならよく知っているよ。
そう牛に向かって言う時、プルウストの時間は失われて、はっきりとした情景が浮かぶ。
道ばたの石燈籠にに牛がつながれていた。いい黒い色をして、いい格好をしている。コーンビーフになる牛は知らないが、君ならよく知っているよ。日本人は千年も前から君を描いてきた。
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