梅若の能楽堂で、万三郎の当麻を見た。
で始まる、
星が輝き、雪が消え残った夜道を歩
きながらの夢想。
世阿弥の風姿花伝を思い、ルッソオを想い、近代人の観念を思う。
美しい花がある、花の美しさという様なものはない。
花の美しさという観念では、花は失われてしまう、と言っているのか。僕もまた、落ち込んでしまう。
不安定な観念の動きを直ぐ模倣する顔の表情の様なやくざなものは、お面で隠して了ふがよい
醜いから隠してしまえと言っているのではない。この忌々しい敏感すぎる感受性で舞うことはもう人間の性だ、だから隠しておけ。懐かしい昔に取り込まれてはいけない、それを観念と呼ぶのであろうか、歩くのは目の前にある道だ。
僕は、星を見たり雪を見たりして夜道を歩いた。あゝ、去年の雪何処に在りや、いや、いや、そんなところに落ちこんではいけない。僕は、再び星を眺め、雪を眺めた。
で終わるわずか4ページ。折に触れ、思いだし、読み返すことができる小品。
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